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二年目の春・2

それから数日後の土曜になると横島はタマモとさよと木乃香達と美砂達と一緒に電車に乗っていた。


「タマちゃんご機嫌やな。」

いつもよりちょっとおめかししたタマモや木乃香達と横島は雪広邸に向かっているが、実は雪広邸の庭には数本の見事な桜の木があり毎年親しい人を招いて観桜会が行われているらしい。


「招待状貰ってから行く気満々だったからなぁ。」

今年は横島達も招待されたものの横島自身は場違いかなとの考えも少しあり行く気はあまりなかったのだが、雪広家がタマモにもきちんと招待状を送ってくれた結果初めて正式な招待状を貰ったタマモが行く気満々になり結局みんなで行くことになっていた。

どうやらタマモは広く美しい雪広邸の屋敷や庭が好きらしい。


「私と木乃香は何年か前に行ったことあるわよ。 お花見ってよりガーデンパーティみたいだけど。 だからあんまりハメを外しちゃダメですよ。」

雪広家のお花見となるとどんなお花見なんだろうと期待を膨らませる横島や少女達であるが、小学低学年の頃にはよく雪広家に遊びに行っていた明日菜と木乃香は数年前の観桜会に出席したことがあるようだった。

明日菜いわく一般的なお花見というよりはガーデンパーティのような感じらしく、あまりばか騒ぎしないようにと横島にさっそく釘を刺している。

ちなみにタマモはハニワ兵も連れてきていて、タマモのリュックからはハニワ兵がちょこんと顔を出してもいる。


「へ~、ガーデンパーティか。 俺はそういうの出席したことないな。」

同じ麻帆良市内なだけに電車は一駅ですぐに降りて徒歩雪広邸に向かうが、相変わらず屋敷を取り囲む高い塀があり道路からは庭や屋敷は見ることが出来ない。

元々お金とは無縁だった横島なだけにガーデンパーティと言われても、映画なんかで見たような漠然としたイメージしかないようでいまいちピンと来ないようだったが。


「わーい!」

「ちょっとタマちゃん、走ったらダメだって!」

そのまま雪広邸に到着した一行を出迎えたのは雪広家のお手伝いさんであった。

約束の時間より十五分ほど早めに到着した横島達だが、さっそく観桜会が行われる中庭に案内されるらしい。

雪広邸の敷地に入り広い庭を目の前にしたタマモは我慢出来なくなったのか、走り出して中庭に駆けて行こうとするも明日菜にアッサリと捕まり抱き抱えられてしまう。


「今日は他にもお客さんが来るから、庭を走ったらダメよ。」

「ごめんなさい。」

これが普通に遊びに来ただけならば構わないのだが、この日は他にも観桜会に招待された人が居るので流石に自由にさせてはダメだと判断したようだ。

明日菜に注意されたタマモは少ししょんぼりしてしまい素直に謝るものの、明日菜は後で一緒にお散歩しようと約束して元気を出させることも忘れない。


「昔はアスナも走り回ってたんやけどね。」

一方すっかり子供の扱いに慣れた明日菜であるが、そんな明日菜をからかうように木乃香は同じ観桜会で走り回っていた明日菜の過去を暴露して周囲を笑わせていた。



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