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二年目の春・2

翌日になると麻帆良の桜は満開宣言が出されていた。

桜の季節が春休みと重なる麻帆良のお花見は、他と比べるとやはり未成年が多い。

ただし喧嘩と花火と賭け食券は麻帆良の華だという言葉があったりするように、血の気の多い学生達が騒ぎを起こすことも珍しくないが。


「この季節は女子寮も落ち着いていられないのよねー。」

「ぽー?」

「もうすぐ新学期だから引っ越ししてくる人が多いのよ。 だから女子寮の中に引っ越し業者とか出入りしていて落ち着かないの。」

そんなこの日だが、店の二階にある自宅には美砂達が朝から訪れていてハニワ兵と一緒にワイドショーを見ながらお茶をしている。

元々休日なんかは横島の店に入り浸ることが多い彼女達であるがここ最近は少し事情もあるようで、どうやら麻帆良学園の女子寮ではこの季節は転出や転入に加えて同じ麻帆良学園内の進学に合わせて寮から別の寮へと移る人も多いらしく落ち着かないらしい。


「ぽ~。」

「いつもならパジャマとか部屋着で寮の中を歩けるけど、この季節はね。 ほら、引っ越し業者って男性が多いでしょ? 同じ学園内の移動なら体育会系のサークルとかが格安で引っ越ししてくれるけど、あの人達も男ばっかりだし。」

麻帆良学園の女子寮は基本的に男子禁制であるが、この季節だけは引っ越し業者や引っ越しを請け負い小遣い稼ぎするサークルなんかもあってよく男性が出入りしている。

外に出るならともかく寮内の食堂や売店や大浴場には普段着で移動するが、寮内に男性が多いとそうもいかずに結構気を使うようであった。

ちなみに麻帆良学園のサークルの中には体育会系女子のサークルなんかも引っ越しを請け負っていたりして、こちらは女子の学園内の寮移動なんかで大人気だったりするが。


「このクッキー美味しいね。」

「ぽー!」

一方テレビでは美砂達にはあまり興味のない芸能人のスキャンダルをあることないこと騒いでいて、彼女達も見ているようで見ていない。

相変わらずハニワ兵と美砂達は女子会のような雰囲気で、半ば愚痴のようなおしゃべりをしつつお茶と茶菓子は食べていた。

なおこの日の茶菓子はハニワ兵の異空間アジトの友人が送ってきたお菓子であり、異空間アジト内のとある地区での人気の逸品らしい。


「こんちにわ~。」

「郵便屋さん?」

そのまま美砂達とハニワ兵は気ままな時間を過ごすが、しばらくするとなんの前触れもなく何もない場所に突然郵便屋というか配達業者のような格好のハニワ兵が現れる。

桜子なんかは相変わらず驚きもせずに普通に挨拶を交わす中で美砂と円は少し驚きつつ何者か確認すると、どうやら配達屋のハニワ兵らしい。

彼は小包のような荷物を横島宅のハニワ兵に届けると、受け取りのサインを貰い帰っていく。

配達された荷物は異空間アジト内のお花見のスポットの案内雑誌だった。

美砂達のみんなで異空間アジトにお花見に行こうという話にはハニワ兵も協力していて、今回そのために最新のお花見スポットが分かる雑誌を取り寄せていたようである。


「何処がいいかしらね~。」

このあと彼女達はその雑誌を見ながらお花見の計画を更に練っていくことになる。


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