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麻帆良祭への道

「ついでに言うとあの魔法世界は人為的に創造された世界であり、未完成の魔法で作られた世界だ。 ここから先はまだ調べられてないが、恐らく伝承と事実を照らし合わせて推測すると世界を構成する魔法は現状ではアスナ姫しか使えん可能性がある」

高畑の行動に呆れる横島に土偶羅は魔法世界の最重要機密を次々と語っていく

ちなみに世界を構成する魔法に関しては土偶羅独自の調査の結果である

魔法世界に人型ボディを送り込む前に世界の構成を調べた結果だった


「あのじいさん凄いな。 よく何年も明日菜ちゃんを隠したもんだわ」

「もう一つ悪い事実がある。 あの世界はあと十年ほどしか持たないだろう。 詳しく調べるならもう少し時間が必要だが、世界を構成する魔法が未完成な物だからな」

近右衛門がいかに重い責任を背負ってるかをシミジミ感じる横島に、土偶羅はトドメと言わんばかりに魔法世界の残り時間を告げる

これも最初に調べた一つであり、あまり正確には調べてないがおおよその時間は十年前後だとわかっていた


「…………マジか?」

「わしの妄想だと言えばいいか? あと麻帆良の現状で気になるのは、何かが蟠桃の地下に封印されてる。 これに関しては正体が掴めてないが、相当ヤバイ物のようだな」

最早横島は言葉が出ないほど固まっている

いつ爆破するか分からない爆弾の中で生活してるような、そんな気分だった


「この世界も平和とはぎりぎりのバランスの上に成り立っている。 近衛近右衛門はよくやってるわい」

全てではないがある程度の状況を語り終えた土偶羅は、近右衛門のバランス感覚を褒めていた

それだけ近右衛門は秘密を抱え守って来たことになる


「土偶羅……」

「分かっている。 すでに準備は始めている。 ただ魔法世界を救うにはワシでは無理だ。 あの世界の魔法を組み替えて完成させるのはな……」

全てを聞き終えた横島はしばらく無言だったが、ふと土偶羅に語りかける

しかし土偶羅は横島の言いたいことを事前に理解しているし、すでに対策を始めていた


「頼むな。 あの子達が悲しむ姿なんて見たくない。 未完成の魔法の方は情報だけ集めておいてくれ。 正直そっちはやりたくない」

明日菜に関しては横島には見捨てるという選択肢はない

横島が親しい女の子を見捨てられないことなど、土偶羅は百も承知ゆえに準備を始めている

しかし一方で魔法世界の救済に関しては消極的だった


「世界を救っても恩を仇で返した連中だからな。 大戦後ナギ・スプリングフィールドは、英雄どころか犯罪者として指名手配もされている」

世界の救済などに関わってもろくな結果にならないと考える横島に、土偶羅は未確認情報だと言いつつナギ達が大戦後に魔法世界の政治の犠牲になった可能性があると告げていた


「人間って奴はどこまでも疎かだな」

滅びを理解しててもなお手を取り合うことすら出来ない魔法世界の人間に、横島は冷めた口調で一言つぶやくだけであった



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