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二年目の春・2

「あっ、桜餅あるじゃん!?」

さてこの日は日替わりメニューとして桜のスイーツを何種類か提供していた。

ちょうど桜の花も見頃なので店には花見に行く人がスイーツを買って行く人も結構居て、今日は特に見頃なので桜餅などの和菓子と桜のシフォンケーキなどの洋菓子の両方を販売している。


「やっぱ花見団子と桜餅はよく売れるな。」

元々スイーツで有名な店なだけに、この機会にお花見にピッタリのスイーツを売ろうと夕映達にせっつかれて作ったのだ。

ここ数日は茶道部に桜餅などの春の和菓子を卸してることもあり特に手間ではなかったし、木乃香達も春休みなので手の込んだ物を作る余裕があったということもある。

ただまあやはりお花見には和菓子が合うのか、売れ行きは花見団子や桜餅が断トツで多い。

理由としては近所の年配者がお花見に行くからと大量に買ったりと、纏め買いをしていく客が居たことも断トツになった理由だったが。


「よく和菓子は若い子には人気ないって聞くけど、うちじゃ人気なんだよな。」

「マスターの和菓子って、なんかクセになるのよねー。」

「うんうん。 正直他じゃあんまり食べないし。」

尤も横島の店では女子中高生にも和菓子は結構人気で、時々日替わりメニューとして販売すると紅茶と一緒に頼む客が多かったりする。

もちろんこの日も普通に女子中高生なんかが和菓子を頼んでいるが、これは和菓子が好きと言うよりは横島の作る菓子が好きな常連が多いだけとも言えた。


「マスターの場合、盛り付けとかも可愛いからね。」

ちなみに横島の和菓子の特徴として、店で食べていく客には和菓子らしくない今風な可愛いデコレーションを簡単にすることもある。

元々は毎日さよが持っていく弁当で始めたのがきっかけだが、女子中等部から噂が広がり忙しくない時にはスイーツでも可愛いデコレーションをしてやったりしていた。

和菓子には和菓子の伝統的な美があるが、あえてそれにこだわらずにデコレーションする横島はやはり専門のプロでないからこそなのかもしれない。

まあ横島自身は和菓子の技法も一通り使えるので茶道部の和菓子なんかは普通に本格的なものを卸しているが。


しかし横島の店に女子中高生が多かったり横島がモテてる理由の一つには、そんな横島のマメさが理由でもある。

テスト前には無料で山かけしては勉強を教えているし、占いもするので相談事なんかもよくされては親身に答えていた。

昔のように露骨に欲求を露にすることは流石にないが、それでもやはり女好きの本質は変わらないということなのだろう。

料理なんかは持ち前の凝り性とサービス精神が影響してもいるが。

結局のところ横島自身は自覚がないが、横島のモテ方は父である大樹譲りなのかもしれない。

横島の場合は過去や自身の素性に秘密があるので最後まで手を出さないのは違いがあるが。




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