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その二

「元々私達が計画していたことですから、あまり気にしないで下さい。 シロちゃんは家族のようなものですから」

笑顔で語る魔鈴を見て、ジロウは嬉しそうにシロの頭を撫でる


「後は犬飼でござるな!」

「シロ、お前は戦ってはダメだぞ?」

気合いを入れてやる気満々のシロに、ジロウは苦笑いを浮かべながら釘を刺し、魔鈴達はそのまま事務所に帰っていく



一方学校へ行った横島の方は、いつも通りの平和な日常だったのだが…


「はい、横島君。 今日の分よ」

ニコニコと笑顔の愛子と加奈が横島の机の上に置いたのは、大量のファンレターやプレゼントであった


「なんで学校に、ファンレターやプレゼントが来るんだ…?」

微妙に困った表情の横島を見て愛子と加奈はクスクス笑っている


「仕方ないじゃない。 横島君芸能事務所入ってないんだもん。 管理する事務所が無いからバラバラに送って来るのよ。 前に学校生活をテレビでやった時に学校名ばれちゃってるし、横島君にファンレター出すなら学校か事務所に送るしかないもの」

面白そうに笑みを浮かべて説明する加奈だが、横島はなんと答えていいかわからない


「世間じゃ、芸能人の扱いだもんね~」

愛子は横島をからかいつつ、ピートにもファンレターなどを渡す


事の始まりは修学旅行の後であった

修学旅行中の銀一との記者会見は、一応成功している

散々テレビや新聞などで騒がれはしたが報道自体は好意的であり、事務所や横島の周辺への行き過ぎた取材は行われなかった


しかし、全てが上手くいった訳では無い

元々香港映画の後にファンレターが事務所に届くことはあったが、記者会見の後はファンレターなどが激増していた

そして修学旅行中の記者会見のため横島は制服姿であり、報道する時に横島の映像として流したのが過去の学校での密着取材の時の映像だったのだ

注目度の割に流す情報が無いため、結果として横島の高校は全国的に名前が売れてしまっていた

そして前は事務所に届いていたファンレターなどが、学校にまで届くようになっている


「どこから聞いたのか知りませんが、先生の教会にも手紙やプレゼントが来るんですよね…」

同じくピートも、定期的に送られてくるファンレターなどの扱いに困っていたようだ


「横島君モテモテね。 私も横島君のファンになろうかしら?」

からかうような口調と笑顔の愛子に横島はグッタリしてしまう


(そりゃ嫌われるよりはいいが、目立ち過ぎるのもちょっと…)

グッタリ机に伏せて悩む横島だが、自分の意思とは無関係に有名になっていくのにどうしていいかわからない


そしてそんな横島の意思を無視するかのように、横島の知名度はどんどん高まっていく

理由は横島との記者会見がきっかけで、銀一が主演の踊るゴーストスイーパーのドラマが、開始前からかなりの話題になっていたのが原因である



「なんでアッシだけ……」

一方、そんな中で一人だけ疎外感を感じて重い空気を纏ってる人物がいるが、彼には誰も触れなかったと言う


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