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二年目の春・2

翌日は夕映とのとかの二人が麻帆良カレーの屋台を手伝っていた。

春祭りはいよいよ桜も咲き始めたということで今日は祭り会場も賑わい混雑をし始めている。

麻帆良カレー実行委員のメンバーである二人は当初から祭期間中の時間がある日は手伝いに参加することにしていたので、先日のカレーおでんの件とは直接は関係ない。


「かなり売れてますね。」

「ちょうど開花に合わせる形で販売を始めたからね。 運も良かったよ。」

そんなこの日は麻帆良カレーに関しては意外性などもなく予想通り売れているだけだが、カレーおでんに関しては予想を越えて売れていた。

元々横島が作った料理なので味は確かであり売れること自体はさほど驚きがないが、それでも開花前のような人出だったらここまで売れなかったと思う程には売れている。

麻帆良カレーの関係者は偶然とはいえ開花に合わせる形で販売を始めることが出来たことは運が良かったと語るが、実際にこの手の商品やメニューの販売は出だしでつまずくとケチが着いたようにパッとしないままになることも少なくない。

のどかは得意の調理で腕を振るっているが夕映は細々とした雑用を手伝いつつ、突然思い付きでメニューを増やした横島の尻拭いもしていた。


「運ですか。」

「この業界も意外と運の良し悪しが関係するんだよ。 どんなに美味しく自信がある商品でもお客さんが買ってくれないことも多いからね。 スーパーもコンビニも商品を置けるスペースは限られてるから商品の大半は人々に味を知ってもらう前に消えていくんだ。」

関係者は雪広グループ社員であり実は営業のプロだと聞いていたので、夕映は天下の雪広グループの社員が運の良し悪しを理由にすることに軽い驚きを感じる。

だがいかに味を変えパッケージを変えても運が悪いと売れないまま終わるのを何度も見てきたらしい。

ただここで運が理由になる一因としては、以前にあまり売れないまま販売中止した商品が数年後に復刻版として出したらバカ売れしたこともあったのが理由のようであった。


「それにしてもトッピングのうどんが売れ過ぎのような気も……。」

「それはこっちでもビックリしてるんだよね。 昨日の午後辺りから急激にうどんを入れるお客さんが増えちゃって。」

ちなみにカレーおでんは現在トッピングとして出したうどんの売り上げが異様に延びていて、カレーおでんうどんとして食べる客が何故か多かった。

うどん自体は横島ではなく麻帆良カレーの関係者が加えたトッピングなのであるが、通常のカレーうどんと比べるとかなりアッサリとしてつゆもとろみなどないがこれが意外に新しいと売れてるらしい。

麻帆良カレーの屋台はメニューの性質上その場で食べられるようにとテーブルを用意していて、そこでカレーおでんうどんを食べる人が多かったのだ。


「横島シェフ、気を悪くしないといいんだが。」

「ああ、それは大丈夫ですよ。 横島さんは人の食べ方まで口出しする人じゃありませんから。」

カレーおでんが人気が出てることで関係者は忙しくなり嬉しい悲鳴というような様子だが、同時に本来の形とは少し違った形での人気に横島の反応を心配する様子も見せる。

一応トッピングにうどんを加えるのは事前に話しているが、自身の考えた料理を魔改造されたとでも受け取られて気分を害したらと不安もあるらしい。

ただその件に関しては夕映が有り得ないからと説明して、横島にも話を通しておくことで納めていた。



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