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二年目の春・2

翌日横島は近くの雪広グループ系列のコンビニからおでんを購入して味見しつつ、カレー粉の調合に取り掛かっていた。


「難しそうやね。」

「まあな。 でもせっかくだから基本的なカレー粉の調合方法を覚えてみるか?」

喫茶店とは思えぬ香辛料の数々は色も香りも様々である。

現在横島の店では麻帆良カレーを毎日作ってるため、横島がスパイスからカレーを作るのは決して珍しくはない。

ただ流石の木乃香もスパイスからカレー粉を作るのはまだ教わってなく、横島は春休みで木乃香達が時間があるこの機会に木乃香とのどかに一般的なカレー粉や麻帆良カレーのカレー粉の調合方法を教えることにする。


「ぶっちゃけ普通に家庭で作るなら市販のカレー粉で十分だけど。」

横島自身は凝り性な一面もあるのでカレー粉から作ることもあるが、夕食なんかで身内だけで食べる時は市販のカレー粉やカレールーを使うこともよくあった。

家庭の味という訳ではないがちょっとしたコツで普通に美味しいので、時間や手間を考えると横島でもよく使っているのだ。

まあ教えておいても損はないだろうとの考えから今回は教えるらしいが。


「うーん、おでんの味を損なわないようなカレーかぁ。」

その後横島は二人に基本的なカレー粉の調合方法を教えつつおでんに合わせたカレー粉を調合していくが、その試作は僅かな時間で十種類にも及んでいた。


「私は三番がいい!」

「三番は味濃くない? 私なら六番かな。」

基本的につゆはコンビニのおでんのつゆを流用する形で作るため、試作したカレー粉をつゆに合わせて店に居たお客さんにつゆだけで味見を頼み反応を見ていく。

当然ながら好みもあり簡単には一つには絞られないが、その反応を見て好評だったものを更に改良していく作業を続ける。


「本当にやる気になった時は凄いのよね。」

「これでムラッ気が無ければね。」

そんな珍しく真面目に仕事をする横島の姿には木乃香達のみならず常連の少女達もまた見直したというか凄いと評価はするものの、横島が気分屋なのは周知の事実でありそれが無ければと苦笑い浮かべる者もいた。

元々麻帆良では同年代の男性達が嫉妬するほどモテてる癖に、自分はモテないんだと公言して現実を信じようとしない横島は残念なモテ男という印象も最近は広まりつつある。

女性が苦手だとの噂も未だに半ば事実として広まっていることも同じく残念な扱いをされる一因であるが。

加えて木乃香達などの異空間アジトに連れていった身内とも言えるメンバーは一応誤解が解けたが、誤解が解けた女性陣が横島の一般的な誤解を解こうとしないことも未だに横島の噂や扱いが変わらぬ理由だった。

以前から何度か説明してるが、はっきり言えば女性陣には無理に誤解を解いてもなんのメリットもない。

横島自身がそんな自分の噂を半ば諦めて放置してる以上、周りから騒動の種になりそうな真実を暴露する必要性は全くなかった。

まあもし仮に横島に好きな相手でも居て誤解されて困ってるならば別だが、そんな様子はなくむしろ横島は誤解だと言いつつ現状を上手く利用してるようにも見えている。

結局横島が特定の恋人を作る気がなく、かといって無責任に遊ぶ気もない以上は現状維持は割と無難な選択肢なのかもしれない。




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