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その二

「とりあえず警察庁に注意勧告を出すか…」

相手が人間を襲う可能性が高い以上、オカルトGメンとしても放置は出来ない

本来は大量の人員を使って捜索をしたいところだが、まだ事件にもなってない人狼を探す為に大量の人員を動員するなどオカルトGメンには不可能であった


「犬飼と八房は私達が何とかします。 西条さんは人狼族に対しての責任問題などをお願いします」

「それは任せてくれたまえ、唐巣神父と連携して事前に手を打とう。 ただ問題はその人狼と八房をどうやって逮捕するかだ」

魔鈴の頼みを快く引き受けた西条だが、彼が悩むのは犬飼と八房を捕らえる方法であった


「それに関しては私達が責任を持ちます。 もし犬飼を発見したら私達に連絡を頂ければ、犬塚さんと私達で対処します」

自信を持ち対処すると言う魔鈴だが、だからと言って西条も任せっきりと言う訳にはいかない

せっかく犠牲者が出る前に情報を得たのだから、対抗策は必要だと思っていた


「わかった。 だがGメンとしても任せっきりと言う訳にはいかない。 GS協会と相談して対抗策を考えるよ」

西条としては当然の行動なのだが、魔鈴はあまりいい顔はしない

犬飼の実力と八房の特性を知るだけに、中途半端なGSでは犬飼をパワーアップするだけなのだ


「西条さん、これは未確認情報なのですが、犬飼の目的は狼王になることのようなのです。 狼王とはフェンリル狼だと言う伝説です」

「本当かい…?」

難しい表情の魔鈴が今回の事件の核心に迫るが、西条はあまりに途方もない話に半信半疑であった


「八房とは大昔に、犬神族の天才刀鍛冶が一本だけ作り上げた無敵の剣。 八房が吸収したエネルギーを体内に取り込めば無敵の狼王になれると言う伝説です」

ジロウが魔鈴の話を補足するように八房の真価を話すが、西条は難しい顔をしたまま考え込んでしまう


「本当だとしたら大変なことになる。 かつて古き神達を殺し、世界を滅ぼしかけたフェンリル狼が復活するとは…」

西条は頭をフル回転させて対抗策の考え直しをしていく


「事の真偽は不明ですが八房の強さと特性を考えれば、嘘だと言い切ることは危険です。 オカルトGメンで動くのは仕方ないでしょうが、対応は細心の注意を払ってお願いします」

魔鈴は西条に話せるだけの情報を与えて、迂闊にGSによる大量の捜索隊を出さないように釘を刺した

さすがに八房でフェンリル狼になれるという証拠は示せなかったが、西条の性格を考えれば最悪の可能性として頭に入れて行動するだろう

所詮は伝説に過ぎないと信じないのは簡単だが、西条ならば万が一としては考えるはず…

この辺りは西条を良く知る魔鈴には、西条が今後取る行動が読めていた


「ありがとう魔鈴君。 こちらも慎重に対抗策を考えよう」

「では人狼族の件はお願いします」


西条との話が終わってオカルトGメンからの帰り道、魔鈴はホッと一息ついていた


「これで根回しは大方大丈夫でしょう。 後は私達が犬飼を捕らえればいいだけです」

「お世話をおかけします」

魔鈴の言葉にジロウは申し訳なさそうに頭を下げる


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