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その二

和やかな雰囲気の中横島達は、シロとタマモに逆行後の行動を説明する


「先生はすでに美神殿の元を離れていたでござるか…」

説明を聞きながらシロは、自分が知る過去と変わっていることに驚きを隠せないでいた


「なるほどね… それで私はまた助けられた訳か」

シロと同様タマモの中にも、未来とこの時代の両方の記憶がある

不思議な人間に助けられて此処に住んで以来、この時代のタマモはいつの間にか居心地が良くなっていたのだ

そんな生活の中、助けられた理由や横島や魔鈴の異常に強い力に興味を示すも、積極的に探ろうとはしなかった


しかし未来の記憶と横島達の説明で全て繋がっている

タマモは横島や魔鈴達の優しさに胸が熱くなる思いであった



「それにしてもお前らも危ないことしたよな~ 文珠の時間移動なんて俺でもこっちに来てから初めてやったのに…」

一通り説明が終わった頃、横島はため息混じりにタマモとシロを見る


「あの… その文珠と言うのは?」

アットホームな雰囲気になかなか言い出せなかったジロウだが、文珠を知らないため話が見えなかった


「ああ、シロの親父さんは知らなかったんだな。 文珠は俺の能力で……」

うっかりしていた横島は苦笑いしながらジロウに文珠を説明していく


「そんな能力があるとは…」

「一応文珠と未来の話は秘密でお願いします。 未来から来た話もここに居るメンバーだけの秘密ですので」

驚きが収まらない様子のジロウに、魔鈴は一応口止めをしていた


「文珠の同時使用は未来で散々やったでしょ? 問題は明確なイメージと文珠のコントロールなのよ」

一方無茶をしたと心配する横島に、タマモは自信ありげな笑みを浮かべて答えている

実は未来において横島以外で、一番文珠を上手く使えるのはタマモであった


元々前世が伝説になるほどの大妖狐のタマモ

パワーや直接戦闘はシロに劣るが、その分素晴らしいほど繊細な力の使い方が出来ており、様々な術が得意なのだ


文珠の同時使用や魔鈴の魔法の一部も習得しており

ルシオラ復活の為の研究の際には、魔鈴やカオスのアシスタントとしてかなり実力を発揮していた


「しかしの… ここの世界はあの未来とは違う道を歩み初めておる。 まだ変わり始めたばかりだからあの未来にも繋がっているだろうが、おそらく別の未来にも繋がっている不安定な時じゃ。 よく辿り着いたの」

タマモの自信が横島達を安心させるための嘘だとカオスは見抜いているが、あえて言わなかった

しかも横島達が逆行して来た後、未来は少しずつ変わっているのだ

いかに時空振の痕跡を追跡して来たとはいえ、単純な時間移動と言うよりは半分は平行世界へ移動するようなもである

まさに奇跡的成功と言っても過言では無い


「危険なのはわかってたわよ… でも黙って待ってることは出来なかった。 私とシロはみんなの居ない世界に未練は無いわ」

少し下を向いて小さな声で本音を語るタマモ

その寂しそうな声に横島達は無言になってしまう


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