このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

二年目の春

「参ったな。 まともに戦う糸口さえ掴めないなんて。」

その後横島が居合い拳を使った驚きから我に返った高畑は、自身と横島のあまりの力の差に思わず困ったように笑い出してしまっていた。

高畑も横島が完全に自分に合わせて戦っていることは当然理解していて、まるで歩き始めた子供をあやすように自分の相手をする横島には表面上は笑っていても内心では悔しさが込み上げてくる。


「普通の人間がまともに戦って力で対抗出来るのはやっぱり限度がありますよ。 俺もほとんど人間じゃないんで。」

ただそれでもまともに戦おうと悩む高畑を横島は驚きつつも少し羨ましく感じてしまう。

横島とて霊力に目覚めた頃は正々堂々とスマートに勝ちたいと思う気持ちはあったのだ。

まあ現実はそんなに甘くなく、そもそも横島は戦い自体が怖くて好きになれなかった結果が現状なのだが。



「マスターが強いのは何となく分かるけど、地味っていうか分かりにくいね。」

一方コントロール室の女性陣は度々手を止めては会話をする二人を見守っていたが、一般人に毛の生えた程度の知識しかない少女達にはイマイチ凄さが伝わらないようだった。

姿を消したり超スロー再生しないと見えないような瞬間にサイキックソーサを出したり、果ては一般人には同じく見えない居合い拳を使うものだから当然かもしれないが。

一応データ解析しているハニワ兵が随時超スローで映像を再生してくれるので理解はするが、やはり一般人から見ると派手な戦いをしていたエヴァや刀子達の方が見てる分には凄そうに見えてしまう。


「今のところ横島君は攻撃は居合い拳しかしてないのよね。 あの調子だと攻撃系の技とか魔法もいろいろあるんでしょうね。 タイプ的に後衛かと思ってたんだけど。」

そして横島の戦い方を見たいと告げた刀子だが、現実は彼女が考えていた以上の力の差があり横島の戦い方を見る以前の段階であった。

そもそもの問題として刀子ですら高畑か鶴子以上の実力者の真剣な戦いを見たのは今日のエヴァが初めてなのである。

エヴァが事実上魔法使いで最強クラスなのは有名だが、その戦いを見たことがあるのは赤き翼の関係者などごく一部だった。

はっきり言って刀子は横島やエヴァと自分の実力差を測りかねている。


「ねえねえエヴァちゃん、あの居合い拳ってそんなに簡単なの?」

「技の原理はさほど難しくはない。 葛葉刀子や桜咲刹那でも多少修行すれば威力さえ気にしなければ出来るだろう。 ただ咸卦法と同じ威力を出すのは難しいがな。 あの男のようにそうすぐに真似出来るものではない。」

ちなみに横島の代わりに解説役をしていたのは刀子ではなくエヴァであった。

流石によく分からない戦い方をする横島の解説なんかは刀子には無理であり、桜子やさよなどエヴァに対して友達感覚の少女が聞くと多少めんどくさそうにするも答えている。



68/100ページ
スキ