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母からの伝言

その後横島と唐巣は三人ほどの友人に会い原因不明の悪夢を相談されたから調査してると話を聞くが、当然特に怪しい人は様子の存在しなかった


「全員夫婦に殺される夢を見ていたか……」

友人に共通したのは全員夫婦に殺される悪夢を何度か見たという証言だった

所詮は夢だからと笑っていた友人も居るが、定期的に見るその夢はリアリティがあり怖いと証言した者もいる


「最後の人が一番依頼人を心配してましたね」

「ああ、特に依頼人の夫婦と親しいようだからね」

特別怪しい人はいなかったたが、ただ一人本当に夫婦に親身になって心配していた友人が居た

話がその友人のことに変わると、横島は意味深な笑みを浮かべ唐巣は複雑な表情に変わる

横島はともかく唐巣は人を疑うのを好きではないようだ


「ちょっと心配しすぎでしたね。 それに聞かれてもないことよくしゃべってましたし……」

「横島君、迂闊なことは言ってはいけないよ」

最後に会った友人は本当に依頼人の夫婦を心配していた

その友人は元々依頼人の夫の友人であり、一年ほど前に妻を亡くして落ち込んでいた時に夫婦に助けられたと訴えるように語って来たのだ

唐巣に原因の目星はついてるのかと再三に渡り尋ね、自分も協力するから早く原因を突き止めてほしいと訴えていた彼の瞳は真剣そのものだった

一見何の違和感もない優しい友人なのだが、横島と唐巣は逆に彼の態度に違和感を感じていた


「依頼人が悪夢を相談してた友人はあの人なんっすよね。 病院やGSに行くように親身に相談に乗っていて、失業した夫婦にお金も貸してたらしいですよ」

無言で考え込む唐巣に横島は唐巣が調査して聞いて無かった夫婦の話を教えていくが、唐巣は表情を険しくして考え込むばかりである


「目的が憎しみではないと言いたいのかね?」

横島が言いたいことを唐巣は無論理解しているし、その可能性も気付いていた

呪いは目的が憎しみだとは限らないのだ

古来より古典的な手法の一つに自作自演という方法がある

対象に対してわざと問題や苦難を与え助けることで相手に近付くよくある手法なのだが、シンプルな分だけ判別が難しく割とうまくいく可能性があるのだ


「あの依頼人が人に怨まれるよりは可能性があるんじゃないっすか? 人のいいからこそ嫌う人も居るでしょうけど、わざわざ呪いを使ってまで嫌がらせしますか?」

現状から判断してただの嫌がらせと言うよりは目的があるのだろうと横島は考えている

何よりただの嫌がらせなら別に無言電話でもなんでもいいのだ

わざわざ呪いを使った訳を考えると、何か目的があると考えた方が筋は通るのが事実である


「横島君、私達は警察じゃないし迂闊なことは言えないのだよ」

横島に対して唐巣はあくまでも慎重であり、全てを憶測で語る横島を戒めるように強い口調で注意をしていた

どうも先程のサスペンスの話から、横島が面白おかしい方向へと考えたがるのではと危惧していたのだ

確かに横島の推測も一応の筋は通るが、元々夫婦と親しい友人が何故自作自演をするのかという根本的な理由がないのだから



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