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二年目の春

「相手どうすっか。」

結局周囲に押しきられた横島は霊動シミュレーターに挑戦することになってしまい対戦相手を選ぶが、ふと横島は最後に挑戦したのはいつだったかと思いを馳せる。

元々修行らしい修行をせずにGSとなった横島がまともに修行をしたのは、皮肉にも実質的にGSを引退した高校卒業後であった。

当時ルシオラの魂の覚醒により人でない存在になった横島が無用の争いを避ける為にと小竜姫の勧めで妙神山に移住したのがきっかけである。

アシュタロス戦後の世界は表面的には一応平和を保っていたが、神魔界は必ずしも平和とはいえなくすでに不穏な空気に包まれていた。

人間界では隠されたがアシュタロス戦において神魔界に名が知れてしまった横島が、魔族であるルシオラの力や能力でGSをするのはどう考えてもいいことではなかった。

しかも令子や小竜姫など極一部の親しい人以外には徹底的に隠されたが、横島が受け継いだのがルシオラの知識や経験まであったことも地味に問題視される。

アシュタロスがルシオラに与えた知識はコスモプロセッサーに通じる技術も多く、令子や小竜姫はむしろ力よりもこちらの存在を隠すのに躍起になったほどだ。

実際のところ横島の妙神山移住は令子と小竜姫とワルキューレの三者により決められたことで、横島にはほぼ選択権はなかったなんて事情もある。

横島は横島なりに社会人生活を楽しみにもしていたが、それは結局叶わぬことになり時を経て麻帆良にて実現することになるが。


(こんなことになるなんてな。)

一年前に麻帆良に来た時はあまり考えないようにはしていたが、戦いなど二度としたくないとすら思っていた。

戦うという言葉を使えば多少マイルドになるが要は相手を滅ぼす為だけに殺し合いをしていただけなので、少女達どころか高畑や刀子ですら理解してないが戦うという意味合いが根本的に違う。

恐らくエヴァはその辺りを多少は理解してるのかもしれないが、それでもエヴァは横島に戦う覚悟を持たせたいのかもしれないと横島自身は感じる。

横島としては戦いは最終手段のつもりだが、エヴァからすると逃げてるように見えるのかなとも思うのだ。


(それに戦うったってどうやって戦うべきか。)

何かを守る為に戦う高畑や刀子と横島の戦いは根本からして違う。

今の横島は小竜姫やワルキューレの技術を基本として様々な能力や経験を自分なりに融合させた戦い方をしていたが、端から見るとそれは美神令子の戦い方に近い。

正直なところ現在の横島は昔ほどトリッキーな戦い方をする必要もなく、戦いに効率と結果だけを求めたらそこに行き着いたのだ。

平たく言えばいかに楽で簡単に勝つかを追求したに過ぎない。

しかも神魔の最高指導者を圧倒する横島がそんな戦い方をするのだから、それは端から見たらえげつないほどだったりする。

はっきり言えば汚れを知らないような少女達には見せたくはないのだ。

無難に戦ってお茶を濁そうかなと考えながら横島は対戦相手をさがしていた。





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