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母からの伝言

そのまま夫婦の自宅の調査を終えた唐巣は、夫婦の寝室に簡易結界を張り帰ることになる

正直呪いを防ぐ結界は優秀な呪術師だと気付かれる可能性もあるのだが、夫婦は悪夢にストレスを抱えており放置も出来なかったのだ

呪い返しと違い呪いを防ぐだけならば効果を確認しない呪術師には気付かれない可能性もあり、夫婦の安全や精神面を考慮すると必要であった


「とりあえず手分けして調査しますか?」

夫婦の自宅を後にした横島は今後の調査をどうするか尋ねるが、唐巣の表情は微妙である

手分けと言われても横島達に調査を頼むのは不安なのだ


「それじゃあ横島君は私と一緒で、雪之丞君とタイガー君はピート君と一緒にしようか。 ピート君達はご主人の元会社に当たってくれ」

しばし考えた唐巣は一番問題を起こしそうな横島を自分と一緒にすれば大丈夫だろうと考え、ピート達には夫婦の旦那の元会社を調査することになる

ここから先は犯人にGSが関わったことがバレる可能性も高くなるが、調査する以上は仕方ないことだった

証拠隠滅や逃げられる可能性もあるが、最終的に調査には必要なことである



「俺達は依頼人の友人っすか。 居なくなった友人よりは残った方が先っすね」

「……最近の横島君を見てると評価していいのかダメなのか悩むね。 確かに現在残ってる友人が先だよ。 本当は人を疑うなどしたくはないのだがね」

唐巣と二人になり横島は調査対象が夫婦の友人なのだと理解しているが、唐巣はイマイチ横島をどう評価するか迷ってるようだ


「一番疑われなそうな行動の人が怪しいのはサスペンスの常識じゃないっすか」

横島が調べる対象を理解していたことに驚く唐巣だが、まるで二時間ドラマのサスペンスのように考えている横島に唐巣はグッタリしてしまう

遊び半分では困ると唐巣は深いため息をつく


(まあ仮に相手に何かの目的があるとすれば、逃げた連中は無関係な可能性が高いしな。 正直呪いには殺意もないし、恨まれる人には見えんからな)

グッタリする唐巣を見て笑っている横島だが、内心ではきちんとした理由を理解している

ただの愉快犯や憂さ晴らしなら別だが、今回はなにかしらの目的がある可能性も否定出来ない

夫婦を追い込んで何か得をする人間とくれば、調査範囲はだいぶ狭まるのだ

まあ横島の考えが正しいかは今のところ分からないが、可能性の高い相手から調べて行くしか方法はない


「横島君、呪いの話は出来るだけ秘密だよ。 相手を追い詰めては危険だからね」

まるでサスペンスの謎解きのように楽しそうな横島に、唐巣が不安そうだったのは言うまでもない

一応他人の弟子だからとあまりきつく言うつもりはないようだが、最低限の指示は必要であった


「分かってますよ。 原因不明の夫婦の悪夢の調査ってことにするんですよね」

「ああ、そうなんだが……」

いい加減なのだが自然と本質を掴むように見える横島に、唐巣は令子の姿を思い出してしまう

案外似ているのかと感じるが、流石にに口にはださなかったようだ



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