ただ正直なところアーウェルンクスシリーズはナギや赤き翼ですら苦労する相手であるし、一番の問題としてアーウェルンクスシリーズが用いる魔法障壁は高畑の戦い方と相性が悪いことだろう。

それと横島としては基本的に一人で戦おうと考える高畑がイマイチ理解出来なかったりもする。

かつての友人のようなバトルジャンキーならばまだしも、明確な目的があり戦うことより守ることや勝つことを考えるならば刀子が以前話したように横島や周囲との連携を考えるべきだろうと思う。


「ところで貴様はさっきから何をしてるんだ？」

「高畑先生の戦闘データの解析だよ。 ガトウって人とのデータと比較して勝ってるとこと足りないとこをはっきりさせれば今後の修行をしやすいだろう？」

まあ横島としてはいい年した大人に生き方をとやかく言う気はないので、修行に協力する以上口を挟む気は今のところなかったりするが。


「高畑先生の気や魔力の総量は当然として居合い拳一撃に用いる魔力の量から打つまでの時間とか、データとして数値にするべき項目はいくらでもあるからな。」

「うむ、ハイテクというやつか。 時代も変わったな。」

「どちらかと言えばオーバーテクノロジーです。 マスター。 現行の科学及び魔法技術ではここまで詳細なデータ化は不可能ですので。」

ちなみにエヴァは先程から横島が解析しているデータを見てはいるが、機械類に弱い彼女はあまりデータの意味を理解してなかったらしい。

同じく刀子と刹那もまたデータの意味はなんとか理解するがそれがどう役に立つかは理解してないらしく、唯一理解していた関係者は茶々丸だけだった。


「スポーツジムとかで数値を計測するようなものかしら？」

「そんな感じだな。」

そしてまだ魔法入門したばかりの少女達は横島の行動を意外に理解していて、スポーツジムで数値を計測してトレーニングメニューを決めるようなものだと理解したらしい。


「魔法の練習もデータとか使って効率化出来ないの？」

「出来るけど基礎くらいは普通にした方がいいぞ。 やっぱり失敗や苦労もそれなりに必要だしな。 高畑先生は達人だから効率化せんと大変だからやってるだけなんだよ。」

そのまま横島は高畑の戦いを見ながら次々とデータの解析をしていくが、一部の少女からは自分達の魔法の練習も効率化出来ないのかとの意見が出るが横島は流石にまだ早いと告げていた。

高畑の場合は現状でも人間としては限界近くまで修行しており、そこからレベルアップするのは簡単ではない。

エヴァが考えるショック療法のような手段で高畑の枷を外すのも一つの方法だが、横島としては高畑が自身の限界や現在の力量を客観的に見れば自ずと答えを見つけるだろうと考えている。


「貴様、妙に手慣れてるな。」

結局高畑の修行に関して横島は協力することになるが、日頃はあまり使う機会もない横島の武神や軍人や調査官としての能力や経験が地味に役立っていた。

誰も理解してないが横島の恐ろしいところは受け継いだ経験を自分で効率化して使いこなしてるところだったりする。

元々横島は高畑の修行にもあまり乗り気ではなかったが、やるからには効率化しようとする辺りは横島本来の性格が出ていたが。