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二年目の春

「ここ何処?」

翌日は朝食を食べると横島は一同を連れて霊動シミュレーターのある場所に来ていたが、そこは見渡す限りの荒野のような自然が広がる中に突如現れたような近代都市であった。

日本では見られないような見渡す限りの荒野は西部劇の映画のワンシーンのようで、少女達は元より刀子なんかも感動している。


「地球でいうアメリカ大陸だよ。 いろんな施設とか実験場とか纏めてある場所なんだ。」

そんな一同は横島の瞬間移動で一瞬で来たので最早何処か分からないようであったが、霊動シミュレーターは荒野の真ん中にある町に存在した。

実は霊動シミュレーターはその性質上、訓練や兵器及び兵鬼開発の実験にも使われるので周囲には各種訓練施設や実験場なんかがある。

と言うのもそもそも最初に異空間アジトに霊動シミュレーターを作ろうと考えたきっかけは、オカルト技術の研究と実験が目的であり修行が目的ではなかったのだ。

魔法科学から兵鬼の類いまで霊動シミュレーターは異空間アジトの技術開発に大いに貢献していた。


「実験場って言われるとなんか怖いわね。」

「実験場と言っても技術や製品のテストをする実験場や施設のことだと思いますわ。 雪広グループや那波グループにも日本の国内外に実験施設がありますから。」

一見するとここは異空間アジトの玄関口であるハワイ諸島とは違い、生活に密着した都市というよりは工業地帯や研究施設があるような巨大な建物が多い。

横島から実験場という言葉を聞くと数人の少女は少し怖いと口にするも、あやかが実験と言っても技術の実験だろうと語り落ち着かせていた。


「あやかちゃん、正解。 この施設も元々は技術の実験に使う目的で作ったんだよ。」

荒野の真ん中の都市に到着した一同だが説明を兼ねて少し街を散歩していくが、目的の霊動シミュレーターは街でも一際大きな建物というか大き過ぎる建物だった。

それはドーム型野球場を数倍の大きさにしたような外観の建物であり、日本は元より地球にも存在しない大きさである。

ただまあ建物の中は割と普通で受付や売店があったりと、日本でもよくある施設にも見える。


「前は売店なんかなかったんだけどなぁ。」

この日は横島が貸しきりにしたようで他に客は居なかったが以前横島がここに来た時より結構変わっていて、特に売店と食堂があることには普通に驚いていた。


「ここの説明は簡単っすよ。 擬似的に再現した敵を倒すだけですから。 誰から行きますか?」

「僕から行こう。」

そのまま横島は一同を霊動シミュレーターのコントロール室に連れていくと簡単な説明をしてさっそく高畑達の修行をすることにしたが、最初はまだイマイチよく分からないだけに高畑から挑戦するらしい。

普通こういう場合は横島が見本を見せるべきかもしれないが、横島は高畑達なら大丈夫だろうと省いている。


さて霊動シミュレーターだが異空間アジトの物は本家本元であった物より格段に広く、巨大なドーム型の建物がほとんどそのまま広大なシミュレーターになっていた。

コントロール室は中央にありガラス張りで直接見ることも出来るしモニターもいくつもあるので、コントロール室から離れた場所も見れるようになっている。


「対戦相手はどうすっか。」

「厳しくしろ。 中途半端な相手など不要だ。」

少女達は売店からお菓子を貰ってきていてお気楽な観戦モードであったが、横島が高畑の対戦相手を考え始めるとエヴァは最初から厳しくしろと注文をつけてくる。


「そうだな。 まだデータ不足な部分もあるけど土偶羅が今日の為にいろいろデータの追加をしてくれたんだ。 高畑先生が一番戦いにくい相手にするか。」

相変わらず偉そうなエヴァであるが、もう誰も気にした様子もなくこれから始まる高畑の修行を少女達は楽しみに待っていた。

そんなエヴァの要望に横島は少し考えて高畑が一番戦いにくい相手を選ぶことにする。


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