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二年目の春

とりあえずこの日は前回と同じホテルでゆっくりすることにして夕食を取るが、刹那への詳しい説明は現段階では行われなかった。

これに関しては横島は刀子に任せてしまったのだが、刀子は柔軟な思考が得意ではない刹那にはまだ受け止めるのが無理だと判断したようだ。

そして食後はホテルのパーティルームを借りて刀子や高畑に教わりながら魔法の練習を始める少女達であるが、刹那は東洋系とはいえ魔法の初歩は使えるので教える側に回っていた。

ただ基本的に現状の少女達には簡単なアドバイスくらいしかすることはないが。


「それにしても……。」

一方横島はそんな少女達を見ながらエヴァとチャチャゼロと一緒に酒をちびちびと飲んで居たが、その輪の中には茶々丸と今回は一緒に来た横島宅のハニワ兵も一緒である。

ハニワ兵はタマモの次の服に使うのだろう刺繍を縫っていて、茶々丸がそれを興味深げに見ていた。

横島はそんな茶々丸を見て意外に大胆な行動を取ったなと思いながら、先程異空間アジトに来る前にエヴァから電話で聞いたことを思い出す。

茶々丸が超鈴音を止めると告げて、堂々と宣戦布告をしたとエヴァから聞いた横島は少なからず驚いたのが本音だ。

茶々丸の性格上そこまで強く出るとは思わなかったのだが、問題なのは茶々丸の決断が自分達に与える影響である。

現状で横島が超鈴音に対して静観しているのは、彼女の行動が現時点では麻帆良に対して新技術をもたらすなどプラスになっていることと近右衛門が超鈴音との接触に慎重だということが主な理由だ。

横島としては本音ではこの時代で何をしても彼女の生まれた未来に影響はないと教えて、さっさと話をするべきだと考えていた。


「ほんと、子は親に似るのかもな。」

横島もエヴァも茶々丸も少女達に超鈴音のことを話す気はないのでこの場では誰も余計な事を言わないが、横島は茶々丸が堂々と超に宣戦布告したのは他ならぬエヴァと超鈴音の影響だと考えている。

ぶっちゃけ横島は自分が茶々丸の立場ならばそんな大胆なことは出来ない気がしたし、そこまで真正面からぶつかることもしないだろうと思う。

それは何処か誇りやプライドのようなモノも感じる。


「どうせ放置は出来んのだ。 構わんだろう。」

対してエヴァは茶々丸の決断と行動を、非難することも誉めることもせずにただそのまま受け止めていた。

横島はあまり余計なことを口にしてないがその視線や表情で何を考えてるか分かったエヴァは口を開くが、遅かれ早かれ超鈴音を止める必要があるならば茶々丸の行動は問題ないと見ているようだ。


「まあな。 彼女も嬉しかったんだろうよ。 こんな土産を寄越すんだからな。」

過去という異なる世界に来て自分のことを本気で考え止めてくれる存在が居ることがどれほど貴重で幸せなことか、超は理解しているのだろうと横島は思う。

つい今さっき横島は茶々丸からUSBメモリーを受け取ったが、中身は茶々丸自身が確認した結果茶々丸の設計図から運用データにメンテナンスの履歴まで入っているらしい。

これがあれば超や葉加瀬でなくともそれなりの知識や技術があればメンテナンスを出来るだろう。

まあ横島は用心の為にも予定通り茶々丸の調査を行うつもりだが、超鈴音の土産のおかげで随分手間が省けたのも事実だった。


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