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二年目の春

「ここは一体……。 それにハニワ?」

「えーと、なんて言えばいいのかしら? 横島君の私有空間なのよ。 ここ。」

そのまま例によって横島は刹那と茶々丸にはろくに説明もしないまま異空間アジトに全員で転移するが、当然ながら刹那と茶々丸は驚きのあまり思考が止まってしまったようだ。

刀子はとりあえず分かりやすく一言で私有空間との言葉を使ったのは、アシュタロスの遺産とか異世界とか話すと時間がかかるから詳しい説明は後でするらしい。


「ハニワさんはここの住人なんよ。 ウチらはハニワランドって言うてるわ。」

驚き固まる刹那と茶々丸に少女達は、前回自分達はあんな感じだったんだろうなと少し不思議な心境で見ていた。

中でも木乃香は日頃あまり表情が変わらない刹那が驚く姿が少し面白かったのかくすっと笑うと、刹那にハニワ兵がここの住人だと教えていてここはハニワランドだと語る。

元々異空間アジトに正式な名前がなかったことから、木乃香達はいつの頃からか異空間アジトをハニワランドと呼んでるらしい。


「ハニワランドって……。 なんかバブル期に田舎の自治体が作って潰れたテーマパークみたいな名前だな。」

「横島さんはアジトとか拠点と言ってますがそれでは秘密がありそうに聞こえますし、元の持ち主の名前とか遺産というキーワードを抜いたんですよ。 万が一外で話をしてるときに誰かに聞かれてもいいように。」

ただこれには一応第三者に異空間アジトの存在を隠すという意味もあって、アシュタロスの名や遺産との呼び方などを避けたという理由もあるようだ。

正直なところお世辞にも秘密を厳守出来る自信があるメンバーではないだけに、日頃の会話でポロっとこぼしてもいいようにみんなで考えたようである。


「せっちゃんは修行に来たんよね?」

「あっ、はい。 そのはずだったんですけど。」

さて異空間アジトに到着した一行はとりあえず転移場から前回も行った隣接する街のホテルにバスで向かうが、この日は珍しく木乃香と刹那が普通に話をしていた。

和解以降もあまり会話はなく挨拶程度の会話くらいしかしてない二人だが、元々木乃香自身は和解で過去の蟠りを無くすつもりだったので避けていた訳ではない。

ただまあ相変わらず微妙な距離を空ける刹那に木乃香も自分から積極的に近寄らなかったが、それでもなんとなく刹那ことが気になるのも確かなようである。


「私達も魔法の修行しよっか?」

「あー、高畑先生と刀子さん達は戦闘訓練だから同じのは出来ないぞ。」

一方木乃香以外の少女達もまた刹那や刀子の修行が気になるらしく自分達もやろうかと話始めるが、その話には流石に横島が少し悩む仕草で同じのは無理だと説明する。

例によって基礎魔法の練習の段階の少女達には流石に霊動シミュレーターは無理があった。


「そうなんだ。 やっぱり本物の魔法使いは違うのね。 でも見学くらいはいいんでしょ?」

「そうだな。 あんまり参考にはならんだろうけど。」

ただ刀子達の修行を見学してみたいと言う少女も何人か居て、横島はそれならばいいと少女達は見学することになる。

実際刀子達の修行を見学しても少女達の魔法の練習には役には立たないが、まあ実力者の力を生で見るのは無駄にはならないだろう。

実のところ横島はそろそろ少女達の魔法の練習を少し効率化してもいいのではと思っていて、そちらの方も刀子と相談していたが。




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