このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

二年目の春

さて平穏な春の日常楽しむ横島達であるが、この頃そんな春の日常を全く楽しめない人物が居た。


「原因は未だ不明カ。」

「昨年の異常気象が可能性が高いのですが、世界樹は元々科学的なデータ不足なので推測しかできませんね。」

それは自身が借り受けている大学部にある研究室にて盟友である葉加瀬とあることについて相談している超鈴音である。

未来を変えるべく二年近くの歳月をかけて進めてきた彼女の計画が、今根底から覆されそうなほどの大問題が起きていた。


「私が歴史を変えたからだというのも可能性の一つネ。」

「確かにそれも否定は出来ませんけど。 マスターと木乃香さん達のことまだ気にしてるんですか?」

土偶羅は大分前に気付いていてすでに近右衛門達にも知らされている事実であるが、世界樹の二十二年に一度の魔力の大放出が一年早まり今年になる事実をとうとう掴んだらしい。

葉加瀬はそれを昨年の異常気象が原因だと考えているようであったが、超はどちらかと言えば自身が歴史を変えた影響が根源にあるのではと思っているようだ。


「エヴァンジェリンさんの解放は想定外ですが、あのマスターが積極的に計画の邪魔をしますかね?」

超と葉加瀬はこの二年間協力して計画を進めてきたが、葉加瀬は昨年の後半から超が少し神経質になっていると感じている。

横島への警戒心も何度か聞いてはいるが、葉加瀬はハッキリ言って横島が自分達の計画の邪魔になるとは思えないらしい。


「私の計画は彼らから幸せを奪うものヨ。 彼が私の計画を知れば必ず止めに来るネ。」

「まあ、明日菜さんのことを思えば確かに。 でも彼女一人の為に世界を救う計画を邪魔出来ますか?」

葉加瀬は超のオーバーテクノロジーを理解し協力してくれる貴重な人材だが、所詮は平和な時代に生まれた中学生であり理解してくれないことや理解出来ないことも多々あった。

横島への認識なんかはその典型で、仮に横島が高畑クラスの実力者でも計画に支障はないと考えている。


「葉加瀬は解ってないネ。 あの人は世界なんて抽象的なモノでは動かなくても目の前の現実の為ならば必ず動くヨ。」

共に科学に魂を売ったような超と葉加瀬だが、葉加瀬は葉加瀬なりに超の計画に賛同もしているしその意義を理解し協力していた。

滅びる魔法世界を救う為に少なからず犠牲になる者が居ると理解しても、超の語る未来を作らないためには必要なことだと思っている。

ただ超は直感的に横島は必ず動くと確信していて、それが自身の最大の障害になると考えてるようであった。


「それにエヴァンジェリンを中立にして茶々丸を使う計画は失敗ネ。 先日エヴァンジェリンに直接言われたヨ。 自分と茶々丸をつまらないことに巻き込むなと。」

加えて超が悩んでいるのはエヴァが好意的な中立から敵対的な中立に変化したことか。

元々超とエヴァは茶々丸を作る際にエヴァが魔法の技術を提供する代わりに、作ったガイノイドを一体貰い受ける約束だったのだ。

メンテナンスも必要なのでその際のデータ収集程度はエヴァも黙認して来ていたが、元々超はエヴァを味方にまでするつもりはなく好意的な中立にする計画であった。

その為エヴァには詳しい計画などは教えてないが、ただ少し前にエヴァがフラりと超の元を訪れてわざわざ自分と茶々丸をつまらないことに巻き込むなと釘を刺しに来たらしい。

今のところギリギリではあるが中立のようだが、現状のエヴァは意外に今の生活を気に入ってるようなので超は計画次第では敵対するとの宣戦布告に近い状態だと考えている。

現実問題として長年蟠りがある魔法協会に協力まではしないだろうと見ているが、一方でタマモと横島が頼めば協力する可能性も十分にあった。

結果として超は難題が山積みの中で期限が突然一年も早まるという苦難の真っ只中にある。


32/100ページ
スキ