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その二

犬飼に攻撃したのは魔鈴の魔法と、もう一つは森の中からの見知らぬ攻撃であった


「クッ… 貴様! それにまだ仲間が居たか!」

犬飼は体に火傷を負いながらも、魔鈴を睨みつける

一方横島と魔鈴は炎が現れた方角の森を探りながら、犬飼を警戒していた


「この借りは必ず返すからな!」

犬飼は横島と魔鈴を睨みつけて森の中に逃げてゆく


「まて犬飼!」

ジロウと人狼の若者数名、それと横島と魔鈴は犬飼を追いかけようと動き出すが


キン!キン!キン!……


犬飼が後ろに向けて八房を振るうと、攻撃を受ける為に追撃が止まってしまう

横島と魔鈴だけなら避けることも可能なのだが、横島達が避けると人狼達に当たってしまうのだ

必然的に横島が八房の攻撃を受けるため、犬飼に逃げられていく


「待て! 追ってはならん!」

それでも後を追って行こうとする人狼達を、長老が止める


「しかし、長老!」

「ならん! この闇夜に森の中で八房を相手になど出来ん」

長老の言葉に悔しそうにしながらも止まるジロウと人狼達

しかし横島と魔鈴はこの場で犬飼を仕留める為に後を追いかけようとするが…


「横島! あなた達もダメよ!」

森の中から横島と魔鈴を止める声がする


「えっ!?」

あまりの驚きに魔鈴は思わず声をあげた

その声は横島や魔鈴が良く知る声なのだから


「先生ー!!」

驚く横島と魔鈴の元に泣きながら走って来る者が居た


それはシロであった


「お前…」

横島に抱き着いて泣き続けるシロに、横島と魔鈴のみならず人狼達まで困惑している


「横島! 魔鈴さん!」

そして森の中から現れたのは、家で寝ているはずのタマモであった


「タマモちゃん?」

タマモは魔鈴に抱き着いてうっすら涙を浮かべる


「お前ら… まさか…」

横島と魔鈴は顔を見合わせて、一つの可能性にたどり着いていた


「すまんが、事情を説明してくれんかの? それにお主ら何者だ?」

困惑と疑いの眼差しで横島達を見つめる人狼達の中から、長老が横島と魔鈴の元に歩み寄る


「長老、危険ですぞ! こやつらただ者じゃ…」
 
刀を抜き横島達に向ける人狼を長老は押し止めた


「事情はわからんが、わしらを八房から守ってくれたのじゃ… 刀を向けるでない」

長老とジロウは横島達を警戒しつつも近寄っていく

そしてジロウは泣きつづけるシロの頭を優しく撫でていた


「シロ、何があったのだ? 詳しく話してくれんか?」

「ち……父上ー!!」

優しく事情を聞くジロウの顔を見たシロは、今度はジロウに抱き着いて泣き続ける


「うぇーん! 父上! 生きてて良かった……」

泣きながらも喜び甘えるシロを、ジロウは困った様子でなだめていく


「とりあえず、村に戻ろう。 まさかとは思うが犬飼が戻ってくるやもしれん。 そなた達も来てくれ。 いくら八房の斬撃を見切れるとはいえ、闇夜の森で犬飼を追うのは危険すぎる」

状況的に危険は無い人物だろうと思った長老は横島達を連れて村に戻っていく


事態は横島と魔鈴の予想もしない展開であった

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