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母からの伝言

「呪いか……」

ようやく帰って来た唐巣に横島と心眼は要点だけを伝えるが、唐巣の表情は驚きと険しさが入り混じっていた

正直夫婦を見ただけで呪いか霊症かを判別するのはなかなか難しい

霊視などの特化型の霊能者なら別だろうが、唐巣でも判別は楽ではないようである

心眼に関しては死津喪比女の件で信頼度があり疑う予知がないので疑いはしてないが、呪いの解決は唐巣でさえも難しい依頼であり相手が生きた人間だからこそ様々な危険も付き纏う


「少し厄介だね」

並のGSや唐巣のように弱者救済をするGSでさえ、呪いの依頼は関わりたがらない者が多い

こういった一件では呪いを依頼した者と呪いを掛けた者の両方を解決しなくてはならないが、呪いを掛けた者がまた厄介だった

正規のGSが隠れてやってるなら話し合いで片が付く可能性が高いが、免許を持たないモグリの霊能者だと厄介なのだ


「とりあえず詳しい話を聞いてみるしかないか」

表情が険しかった唐巣だが、夫婦の前に行くといつもの人の良さそうな笑顔になり優しく事情を尋ねていく

横島達三人はそんな唐巣の姿を静かに見守っているが、相手の特定は簡単ではない


「よう、仕事だって?」

唐巣が話を聞いている最中に教会にやって来たのは雪之丞である

実は唐巣が帰宅して夫婦の依頼を受けるのを確認した横島が雪之丞を呼んでいたのだ


「ああ、厄介な依頼らしいし見ておいて損はないだろ」

横島が雪之丞を呼んだ理由は、もちろん雪之丞に経験を積ませるためである

本来ならばGS試験後にモグリのGSとして苦労するはずが、その機会を横島達が潰してしまっただけにより変わりの経験が必要になっていたのだ


「私は彼らの家に行って調べるが、横島君達はどうする?」

三十分ほど夫婦から話を聞いていた唐巣は幾つか収穫があったようだが、これ以上は直接詳しい調査が必要だった

自身はこれから調査に向かうが、雪之丞が増えてることで横島達をどうするか少し悩むらしい


「出来れば見学させてほしいんですけど。 特に雪之丞はこの手の依頼が経験ないんで」

「危険なことは理解してるかい? 通常の除霊とは違い、場合によっては相手が同じ霊能者になるが……」

緊張感があまりない横島と雪之丞に唐巣は少し困った表情を浮かべ危険性を語るが、二人がそんな言葉で変わるはずがなかった

横島は危険性を理解してるし、雪之丞は危険だと言われて怯む性格ではない

ただ一人タイガーはビビり気味だが、自分だけ帰るとも言い出せないようである


(うーん……)

正直唐巣は横島の実力を計りかねていた

GS試験前には全くの素人だった横島が、現実的にどこまでの実力があるかよく分からないのだ

メゾピアノの時や死津喪比女の時に横島はプロ並の実力を示したが、実際にどこまでが横島の実力でどこまでが心眼の力なのか分からないのも大きい

心眼とセットで考えれば見習いのレベルは越えてるが、だからと言って正規のGS並みの幅広い知識や技術を求めるのは無理があった

まして他人の見習いに何かあれば申し訳ないでは済まない訳だし……



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