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母からの伝言

その日の放課後、横島はおキヌの近況を尋ねる為にピートとタイガーと唐巣の教会を尋ねるが、あいにくと唐巣は留守である

少し待っていようということになり二人と話をしたりしながら唐巣の帰宅を待つのだが、やって来たのは唐巣ではなくお世辞にも裕福には見えない夫婦だった


「申し訳ありません。 先生は今不在でして。 ここでお待ち頂けますか?」

言いにくそうに相談事があると告げる夫婦にピートは唐巣の不在を告げて待って貰うように話すが、夫婦は少し迷って日を改めるからと帰ろうとする

言いにくそうな表情といい二人から感じる不穏な空気といい霊症の類なのは明らかなのだが、唐巣が不在ではピートは勝手な判断が出来ない


「ピート殿、帰さない方がいいぞ。 その二人の状況は危険だ」

帰ろうとする二人を申し訳なさげに見送るピートに声をかけたのは心眼だった

突然の声にピートも夫婦も驚き横島に視線を向けるが、横島は険しい表情を見せバンダナの心眼も開いている


「あの危険とは……」

学生服姿の横島の言葉に夫婦は若干戸惑い気味だが、それでも怒ったりしないで腰が低く尋ねる辺り夫婦の人柄がわかる態度だろう


「すんません。 俺も唐巣神父にお世話になってるGSなんです。 よかったら神父が戻るまでに少しお話を聞かせて頂けませんか?」

戸惑う夫婦に横島はGS免許を見せて、見習いだがGSだと告げて話を聞きたいと言い出す

勝手に引き止めて話を進める横島にピートは困った表情だが、止めたのが心眼だったこともあり横島の行動を止めはしなかった

まあピートの性格上それほど強く言えないのはあるのだろうが……


そんな訳で夫婦の話を聞く横島達三人だったが、それは普通の霊症ではなかった

三ヶ月ほど前から悪夢に悩まされるようになったことを境に、仕事をクビになったり友人は離れて行ったりと不幸な出来事が散々重なったらしい


「横島さん、あの人達は一体……」

夫婦の話を人通り聞き終えた横島は神父を探すから待ってて欲しいと告げて、半ば強引に夫婦を引き止めていた

知り合いに電話して唐巣を探す為にピートと横島は教会の奥の居住スペースに移動するが、夫婦から離れたところでピートは横島が引き止めた理由を尋ねる


「あれは呪いの類だ。 しかもかなり悪質な呪いだろう」

ピートの疑問に答えたのは横島ではなく心眼だったが、その内容にピートは驚き一瞬言葉を失う


「呪い返しだけならば我がやってもいいのだが、背後関係を洗わねば意味がない。 早々に唐巣殿に連絡した方がいい」

驚きの表情を浮かべるピートに心眼は対策はあるが解決は出来ないと言い切り、呪いを掛けられた背後関係を調べる為にも唐巣でなくては不可能だと言い切る

横島と心眼が夫婦に直接呪いの話をしなかったのは不安を煽りたくないことからであった

そのまま知り合いに連絡して唐巣を探すピートだったが、唐巣の行方が捕まらないまま三十分ほどした頃に唐巣がようやく帰宅してくる



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