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幻の初恋

一方横島はせっかく小竜姫といい雰囲気だったのに、邪魔されて残念そうにため息をつく


「まあまあ、横島さん。 私は逃げませんからね」

小竜姫は横島が残念そうな表情をしたのが嬉しいのか、笑顔でささやく


「はい…」

横島は小竜姫の笑顔にホッとしたような、それでも残念なような複雑な気持ちであった


(それに…、横島さんは誰にも渡しません)

小竜姫はそんな決意を心で誓い、横島の腕を組む


「さあ、朝ご飯にしましょう」

ニコニコと機嫌のいい小竜姫に連れられて横島は妙神山に行く



時を同じくして美神事務所では、眠っていた令子が突然目を開く


「霊感がうずくわ…」

令子はなにやら胸騒ぎを感じつつ、不機嫌そうに起き出す


「あんまりいい感じがしないのよね~ 厄介事か、大きな仕事か…」

令子は今日何かが起こると感じていた

そして、その霊感は当たることになる



「うまいっす! 最高にうまいっす!」

小竜姫の作った朝食を横島がガツガツと食べていく


決して上品な食べ方では無いが、あそこまでガツガツと食べると、作った小竜姫としては嬉しく感じてしまう


「すごい食欲でちゅね~」

パピリオは感心したように横島が食べるのを見ている


「パピリオ、食べないとおっきくならないぞ?」

横島はわかったようなことを言うが、特別意味がある訳ではない


「それは困るでちゅ! パピはまだまだおっきくならないとダメなんでちゅ!」

パピリオは一瞬小竜姫の胸をチラ見して、横島に対抗するように食べ始める


「パピリオ、今どこを見ました?」

パピリオの視線の意味に気が付いた小竜姫は、ニッコリ笑顔を作りパピリオを見る


「パッ…パピは何も見てないでちゅ!」

さっと視線を逸らし、ご飯を口に運ぶ


老師とジークとヒャクメは、小竜姫の表情に危険な予感を感じる


「小竜姫さま! おかわり!!」

食卓に不穏な空気が流れそうだった時、ご飯に夢中で気が付かなかった横島がおかわりを求めた


「はい! いっぱい食べて下さいね♪」

小竜姫は表情が一変して嬉しそうにおかわりを渡す


「いや~、すいません何杯も… でも小竜姫様のご飯が美味しくて止まんないんすよ」

横島は申し訳なさそうに謝る


「いえ、たくさん食べてくれるのは嬉しいですよ」

小竜姫はまるで新妻のように微笑む


「んっ!? みんなどうかしたんすか?」

横島がふと周りを見ると、老師達は驚いたような表情で横島を見ている


「何でも無いわい。」

老師は微妙に苦笑いしてご飯に戻った


「横島さんは凄いですね」

ジークの感心したようなつぶやきに横島は首を傾げる


「俺そんな食い過ぎか?」

横島はジークの言葉の意味を全く理解していない


「そうじゃないのねー 小竜…「ヒャクメ!」」

ヒャクメが理由をバラそうとしたが、小竜姫によって止められた

ちなみに小竜姫の顔が赤かったのは、横島だけは気が付いてない


「どうやら賑やかな毎日になりそうじゃな…」

老師は少し嬉しそうにつぶやく


そんな妙神山での朝食であった

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