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平和な日常~冬~6

さて夕方になり夕映達が学校から帰って来るとさっそく明日の打ち合わせをするが、今回から麻帆良亭の限定復活は不定期開催すると告知をしていた。


「反応は概ね良好です。 一部の意見として麻帆良亭を完全に復活して欲しいとありましたが。 あと予約に関しても前回以上に入っていて明日も混雑するでしょう。」

相変わらず麻帆良亭絡みの対応は夕映とのどかが仕切っているが、麻帆良亭の不定期営業に関してはほとんどが好評であった。

ただここまで来ると麻帆良亭自体を正式に復活させて誰か後継者に継がせて欲しいとの意見も再び浮上し始めるが、坂本夫妻はそれだけはやるつもりがないと断言する。

一度閉店したことで歴史と伝統が注目され失われる味として今は混雑するほど人気があるが、それが麻帆良亭を復活させた後にも続くとは思ってない。

第一麻帆良亭の店舗は今は横島が使っているし仮に横島が店を譲るといっても、それは恩を仇で返すようなものなので絶対にするつもりはなかった。

現に横島の店は近所の住人や学生達の憩いの場なのだ。

坂本夫妻は麻帆良亭の味を少しでも多くの望む人々に振る舞いたいとは思うものの、麻帆良亭を終わらせた判断まで間違っていたとは今も思ってないのである。


「それと坂本さん達には大学部のサークルから麻帆良亭の歴史を纏めたいので協力して欲しいとの依頼や、今年の春祭りのイベントや麻帆良祭で料理を振る舞って欲しいとの依頼がいろいろ来てるです。」

麻帆良亭の限定復活も三度目になるので打ち合わせは比較的スムーズに進むが、打ち合わせに続き予期せぬ話を説明する夕映に坂本夫妻は驚きと戸惑いの表情を見せた。

実は麻帆良では麻帆良亭の歴史を見直そうとの動きが大学生を中心に起きていて、麻帆良亭の歴史を正確に纏めたいというサークルや三月の末にある麻帆良春祭りで坂本夫妻に料理を振る舞って欲しいとのサークルからの依頼などが夕映達には届いている。

夏の納涼祭の打ち合わせなどで大学生と会う機会がある夕映達が顔馴染みの大学生に頼まれたらしいのだが、坂本夫妻の現住所は一般には知られてないので何故か夕映とのどが窓口にされてるらしい。


「あらあら困ったわね。」

「一応依頼内容や報酬に関しても纏めてるので考えて頂けたら助かります。 春祭りのイベント以外は返事は急ぎませんが春祭りの依頼は出来れば早めに欲しいとのことです。」

突然の依頼に戸惑う坂本夫妻であるが夕映達は依頼の詳細や報酬に関して資料としてきちんと纏めていて、返事の期限まできちんと書かれている。

ちなみに依頼主のサークルに関しても資料としてどんなサークルか分かるように資料として纏めていて、夕映達の仕事の細かさと正確さに坂本夫妻はまた驚きを隠せない。


「一体どうなってるんだ?」

「元々坂本さん達に依頼したかったサークルは多かったみたいです。」


麻帆良亭が閉店して一年も過ぎてからの依頼の数々に坂本夫妻の夫は何故今更と感じるようであったが、元々閉店に関してはいろいろ噂があったこともあるし坂本夫妻が閉店後すぐに麻帆良を離れたことで頼めなかったというのが実情らしい。

それが横島の店でちょくちょく限定復活をするとなれば、他にもイベントや祭りに参加してくれるのではと期待が膨らんだようである。

まあ坂本夫妻と親交がある横島達と大学部の主要サークルが納涼祭絡みで親しいというのも試しに頼んでみるかとなった理由にあるようだが。

結局坂本夫妻は明日の仕込みをしつつ依頼も考えることになる。



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