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平和な日常~冬~6

「マスター、勉強教えて!」

それから数日が過ぎ横島の店は一気にテスト勉強をする学生達で賑わうが、例によって赤点を取りそうなのは明日菜が抜けた元バカレンジャー組である。

高畑も頑張って教えてはいるが彼女達は元々のやる気の問題から早々成績が上がるはずもない。

結果として彼女達は今回も横島をあてにしていて、横島なら赤点はクリアさせてくれるだろうと期待されていた。


「お前らなぁ。」

元気よく勉強を教えてと遠慮なく頼むまき絵に古菲と楓もあまり遠慮した様子はない。

なんというかやる気の無さと他人に頼ればいいやという割り切り方がかつての横島自身を思い起こさせる。


「それはそうとあの人は一体何者なのでしょうね? 頭までいいとは……。」

ちなみに元バカレンジャー組のリーダーであるバカブラックこと夕映はこの日はバイトをしているが、彼女は店内で女子中高生に勉強を教える豪徳寺を見て不思議そうにしていた。

実は昨日の放課後に店に来た豪徳寺に常連の子達が成績を尋ねたところ、豪徳寺は高等部でも常にトップテンに入るほどの秀才だったことが明らかになっている。

その結果元々横島の店では教える人が少なかったとの事情もあり、豪徳寺が常連の子達に頼まれてしばらく指導役として店に来ることになっていた。


「何気にあの人ってマスターより不思議な人よね。」

何故あんな一昔前の不良のような格好をしてるのか、そして一体何者なのかは女子中高生達の間で謎が謎を呼んでいて根も葉もない噂が独り歩きしていたりするが。


「おお、師父は人気者ネ。」

「師父は止めてくれと言っただろう。」

そんな豪徳寺だが古菲は何故か彼を師父と呼び親しげに話し掛けていた。

豪徳寺は自分より強い古菲に師父と呼ばれるのに困った様子であるが、彼は意外に古武術などに詳しく中国拳法しか知らない古菲は気以外も教わったりしている。

まあ気の方も高畑が少し基礎を教えた後は、彼らと古菲はそれを自己流の修行でより技術を高めているらしいが。


「麻帆良の最強コンビが揃った!」

「この間二人で千人近い格闘系サークルの人達に勝っちゃったんでしょ? 凄いわよね。」

豪徳寺と古菲が揃うと店内の常連達は麻帆良の最強コンビが揃ったと騒ぎだし二人に纏わる噂を話するが、やはり噂が大袈裟に誇張されてるようでもあった。


「ばんちょうさん、おちゃだよ。」

なおタマモも彼のことを番長と呼び意外に仲がいい。

以前タマモが豪徳寺のリーゼントに興味を持った際に嫌がることなく触らせてあげてから仲良くなっている。

この日はわざわざ店の常連の子達に勉強を教えに来てくれた豪徳寺に飲み物と軽食をサービスで出していたが、タマモが持っていくとそれは最早不良にカツアゲされる子供にしか見えず周囲の笑いを誘っていたが。

それとこれは余談だが、豪徳寺もまた横島の店に通い関わるようになった影響で地味に運命が変わっている一人でもある。

最近では町中でもよく女子中高生に声をかけられるらしく、男子中高生はあんなののどこがいいんだと首を傾げてる者も多かったりする。



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