「刀子さんは当然としても那波さんもやっぱりやるわね。」

それから夕食の頃までに横島は五十個以上のチョコを貰い上機嫌な様子であったが、夕食の時には更にハルナや夏美からも普通に義理チョコを貰っていた。

ただしこの日はあやかの姉の雪広さやかもわざわざバレンタインチョコを渡すために来ていて、雪広姉妹はそれぞれに別の有名パティシエの高級バレンタインチョコを横島にあげている。

そして身内のメンバーとしては残りの千鶴と刀子であるが、刀子はバレンタインチョコではなくチョコに合うお酒ということでブランデーをプレゼントしていて千鶴は手作りチョコとネクタイをセットでプレゼントしていた。

他の少女達と同様に悩んだ刀子と千鶴であるが刀子は大人としての立場を最大限に活用する形でお酒にしていて、千鶴は自身が手作りチョコを作ってあげたかったという理由もありチョコと横島が時々仕事中に使うネクタイと蝶ネクタイをセットにしている。


「いや～、なんか一生分の誕生日プレゼントとバレンタインチョコを一度に貰った気分だわ。」

誰が見ても美人や美少女である女性陣から心の篭ったチョコやプレゼントを貰い、数においても昔の自分だったらあり得ないほど貰った横島は涙をにじませて喜ぶも流石に少し恥ずかしそうにしていた。

正直横島の人生でこれほどたくさんのバレンタインチョコを貰った経験はなく、どんな顔をして受けとればいいのかと戸惑ったほどなのだ。


「でも流石に貰いすぎですね。 全部食べたら身体に悪いですよ。」

「俺とタマモは普通の人間じゃないから大丈夫だ！」

「だいじょうぶだ！」

この日は少し早いが店を閉めてゆっくりと夕食にしようということになるが、横島とタマモは二人会わせて百個を越えるチョコを貰ってしまい少女達は流石に数の多さに苦笑いを見せている。

しかし横島とタマモは口を揃えて大丈夫だと言い切り二人共に全部食べる気満々であった。


「その前に飽きるんじゃない？」

「いや絶対に飽きない！ 全部食べる！」

本当に全部食べるのかと驚きや戸惑いの女性陣であるが、横島は全部食べると言って聞かなく周囲は本当に今まで貰えなかったんだなとしみじみと思う。

まあ少女達からすると誰か部外者が横島に真剣な告白とかしなくてホットしていて、これで横島のトラウマが一つ減るならまあいいかと思うようだが。


「でも一晩で全部食べるとかは止めて下さい。」

「そうやで。 タマちゃんも食べ過ぎはあかんよ。」

そのまま夕食を食べながらもどれから食べようかと嬉しそうに悩む横島とタマモは見ていて微笑ましいものがあるが、流石に一晩で全部食べるなんて暴挙はしないようにと夕映と木乃香はしっかりと釘を刺す。

別に一晩で食べなければ腐る訳ではないし賞味期限を見て短い物から食べればいいのだ。

横島はたくさん食べても身体は問題はないというがタマモの教育上良くないし、モラルというか節度は必要だと思う。


「あっははは、大丈夫だ大丈夫。 それよりホワイトデーのお返しは期待していいぞ。 俺とハニワ兵が総力を上げれば不可能なことはほとんどないからな！」

「ホワイトデーに総力を上げるのはやり過ぎですわ。」

「横島君、変なことして世界経済とか魔法世界に衝撃を与えるのはダメよ。」

ただ横島はこの日は本当に上機嫌でありいつもは止まる木乃香達のブレーキでもなかなか止まらなく、ホワイトデーは期待していいと言うがその内容のヤバさにたまらずあやかや刀子までもが止めに入ることになる。

まあハルナ辺りは面白そうと瞳を輝かせているが、冗談抜きにして横島とハニワ兵達が総力を上げるとシャレにならないとほとんどの少女と刀子は冷や汗を流していた。