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平和な日常~冬~6

さてこの日もホームルームが終わり放課後になるが、明日菜はホームルームが終わり職員室に戻ろうとする高畑を捕まえてバレンタインチョコを渡していた。

クラスメートの何人かはそんな明日菜についに愛の告白かと騒ぎ出すも、明日菜は高畑は育ての親で家族なのと語気を強めて言い切る。

それはこの一年余りでの誰にでも分かる明日菜の成長ではあるが、それはそれでつまらはないと嘆く者も居たりするが。

その後明日菜は木乃香と一緒に近右衛門にもバレンタインチョコを渡して横島の店に行くことになるが、木乃香は近右衛門に甘い物の取りすぎはダメだと再三に渡り注意もしていた。


「マスター! バレンタインチョコだよ!」

「ありがとう。 ってこれ新堂さんのとこのやつか?」

一方横島の店では夕映とのどかと美砂達が一足先に訪れ桜子が到着早々バレンタインチョコを横島に手渡す。

それは小さな紙袋に入っているチョコだが、紙袋には新堂の店のイニシャルが入っていて横島には見覚えがあった。


「うん! 予約限定品なんだよ。」

「桜子、あんたって……。」

どうも桜子のバレンタインチョコは新堂の店のバレンタインチョコで予約限定品らしいが、美砂と円はそんなこと一言も言ってなかった友人のちゃっかりさに思わず唸ってしまう。

美砂なんかはバレンタインチョコをどうするか悩んでいたが、桜子はあまり悩んだ様子がなかったので驚くのも無理はない。

ただ桜子は単純に横島が凄いと認めた新堂のチョコならば喜んでくれると考えただけだが。


「私からはバレンタインチョコは止めにしてプレゼントにしたわ。」

続いて美砂と円もバレンタインチョコを渡すが、円は割りと普通に義理チョコなのに対して美砂はチョコではなく財布をプレゼントしていた。

実は横島の財布は高校時代から使っている年代物で元々あまり良いものでなかったらしくぼろぼろなのだ。


「へ~、財布か。 ありがとう。 そういや俺の財布そろそろ寿命だったからな。」

財布自体は二つ折りのタイプでブランド物ではないがしっかりした作りの良いものである。

元々自身の服装なんかには無頓着な横島なだけに、放っておくといつまでも自分では買わないのだろうと美砂なんかは見抜いていたらしい。

ある意味横島に下手なアクセサリーなどをあげても使わない可能性があるので、いつも肌身離さずに使う財布を選んだ美砂のセンスは確かだろう。

というか義理チョコではないとアピールするにはこのくらいでないとダメだと思ったのかもしれないが。



その後も横島は常連の女子中高生や親交がある2ーAの少女達から、バレンタインチョコを次々に貰い横島自身を驚かせていく。


「本命を渡す相手なんていないしね。 マスターだと純粋にバレンタインのイベントとして楽しめるのよね。」

正直横島が貰うチョコの数の多さには夕映達も半ば予想していたとはいえ驚くが、大半は義理チョコというかバレンタインを楽しむためのチョコだと常連の女子高生は口にする。

身近な男性で年齢的にも性格的にも一番無難に楽しめる相手として横島を選ぶ女性は多いのだろう。

まあ実際横島は麻帆良ではそれなりにモテるので、横島が本気で望めばとりあえず付き合ってもいいという女性は意外に多いが。

横島はそんな女性の本音を不思議そうに聞いていたが、かつての友人であったピートが高校時代に貰ったチョコとほぼ同じ意味であることに気付くことはなかった。



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