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平和な日常~冬~6

同じ頃雪広コンツェルン本社の社長室では、あやかの父政樹と千鶴の父衛の二人が先日土偶羅が近右衛門に提案した技術研究部門の拡充について話をしていた。


「必要なのは確かだな。」

「しかし資金までおんぶにだっこというのはどうなんだ?」

純粋な魔法技術の研究から始まり科学技術との併用や融合を含めて更なる研究が必要なのは土偶羅でなくとも感じていることであるが、必要ならば即拡充させればいいというほどシンプルな問題ではない。

関東魔法協会は近右衛門がトップになって以降拡大を続けているが、それは財政面での計画に基づいた拡大でありむやみやたらと拡大している訳ではない。

雪広や那波を含めた支援企業もまた永遠に現在の業績を維持して支援出来る保証はなく、最低限自立した運営を出来る規模での拡大をしていた。


「人を育てるのには時間がかかるからなぁ。 最悪向こうが崩壊したことを考えると技術者や研究者は多い方がいいんだが。」

根本的にこれからの時代は技術がモノを言うだろうし技術研究部門の拡充には賛成ではあるが、具体的な資金まで頼った形での拡充には一考の余地があると二人は考えている。

ただ魔法世界が崩壊した場合は地球側にも影響は避けられない上に、そもそも現状で魔法の秘匿と魔法協会の地位や権利を守ってるのはメガロメセンブリアと地球側国家の条約によってという意味では麻帆良も変わらない。

メガロメセンブリアが無くなると地球側の国家が魔法の秘匿や魔法協会の特権を守る理由はなくなる。

まあそれ以外にも魔法世界からの難民など崩壊時の問題は山積みなのだが。


「父さんは万が一の場合は例の開発中の惑星を新世界にして移住も考えるべきだって言ってたからね。 賛成する気がするけど……。」

魔法世界の崩壊に対する対策はようやく始めようとしてたところだが、最悪の予測としては世界規模での戦争や魔法関係者の弾圧まであり得るとの予測が土偶羅から提供されていた。

まあそれらは可能性としてはあまり高くはないが、割りと現実的な予測としては魔法が公開されて魔法協会の特権は剥奪されるという予測がある。

というかメガロメセンブリアが消失すると、かなりの確率で魔法協会は現状のまま維持出来ないというのが現実的な予測だった。


「確かに超君の未来のような宇宙開発するよりは遥かに安上がりなんだよね。 完全に横島君頼りになるけど。」

「問題はそこなんだ。 疑う訳じゃないけど、頼ってばかりにして突然気が変わって手を引かれたら大変なことになる。」

雪広清十郎などは万が一の際には下手に争うよりは現在土偶羅が開発している異空間アジトのダミー惑星に移住も考えるべきだと言ってるらしく、実際問題として超鈴音の未来のような宇宙開発をするよりは遥かに安上がりになる。

ただここで問題なのは技術研究部門の拡充にも繋がることだが、横島に頼り過ぎて大丈夫なのかとの不安だった。

近右衛門は信じているようだが、政樹と衛の二人はある意味横島でさえも疑うのも仕事である。


「普通はこういう時は古い手ではあるが縁談が一番なんだよな。」

「だが今の横島君に縁談なんて持ち込むとそれこそどうなるか分からんぞ。」

この時二人は雪広・那波・近衛の三家の誰かと横島を縁談で繋げられないかと少し考えるが、ここで更に問題になったのは横島の周囲の女性が上手いこと三家の娘と友人達で固まってることだろう。

下手に誰かと縁談をさせるとバランスを崩して逆効果になりかねない。

困ったことに横島は周囲の少女達を気に入ってはいるものの恋愛は全然ダメだと誰が見ても分かるのだ。

無論二人は横島を個人的には気に入っているが、客観的に見ると責任感というか覚悟をどれほど固めてるのか見えて来ない。


「もう少し話をするべきだな。」

結局技術研究部門の拡充は答えが出ないものの、それよりも横島とはもう少し時間をかけて直接話したいと二人は考えることになる。




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