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平和な日常~冬~6

「バレンタインかぁ。 木乃香は手作りでもいいだろうけど、私はどうしよう。」

同じ頃、美砂と円と桜子の部屋では美砂がバレンタインをどうするかと頭を抱えていた。


「相手がプロじゃ素人の手作りってのもね。 いっそチョコから離れたら?」

女性から想いを伝えるという意味ではバレンタインほど相応しい日はないが、難しいのは相手である横島が本人は認めないが事実上のプロであることだろう。

楽天的な桜子は何をあげても喜んでくれるからいいとしか考えてないが美砂は悩んでおり、円はチョコレートから離れてはどうかとアドバイスをする。

実際手作りチョコでは木乃香を越えることなどほぼ不可能だし、かといってバレンタインまで一緒に作っては横島も面白くないだろうと思う。


「チョコから離れるか。 その方がいいかぁ。」

バレンタインにチョコ以外のプレゼントというのもまあ聞く話ではある。

あまり高い物はあげれないが洋服や食べ物以外もいいかと考えを巡らせていく。



「バレンタインねぇ。」

そして刀子の場合は自宅でテレビのバレンタイン特集を見ながらどうしようかと悩んでいた。

当然ながら彼女もあげないという選択肢はないが、過去の経験でも義理を除くとバレンタインにチョコをあげた経験は前の旦那くらいである。

自分でも思い出すと悲しくなるが別にモテなかった訳でもバレンタインが嫌いだった訳でもない。

不思議とバレンタインの時期にチョコをあげたい相手が居なかっただけである。

どうも要領が悪いのは昔からだったらしい。


「手作りだとお嬢様に負けそうだし……。」

基本的にバレンタインにあげることは決めてる刀子であるが、問題なのは美砂と同じく手作りだと木乃香に勝てないことだろう。

まして刀子は年齢もそれなりなので手作りで年が離れた木乃香に負けるのは避けたい。


「いっそお酒でもあげようかしら?」

仮に義理ならばただのチョコでいいが刀子としては告白はしなくても本命のつもりであり、ここで若い少女達とは違う大人の女をアピールしたい。

日頃横島は余り物のスイーツを酒の肴にお酒を飲んでいるので、少女達がチョコをあげるならば自分はお酒にしようかと考えていく。



「ちづ姉が悩むなんて珍しいね。」

「そうかしら?」

「バレンタインなんだし普通にチョコでいいんじゃないの?」

「それもちょっとね。」

次に千鶴もまた寮の自室でバレンタインをどうするか悩んでいた。

横島に近い木乃香達と美砂達と刀子とは上手いこと仲間のような関係になってはいるが、やり過ぎない程度にアピールしたいのはみんな同じだろうと見ている。

もしかすると美砂や桜子辺りは告白するかもしれないし、そうなると他の少女や刀子も動く可能性があると千鶴は考えている。

まあ可能性としてはそれほど高くはないが、万が一そんな流れになっても負けないだけのアピールはしておきたい。

実際周りの友人達との関係を壊してまで横島にアピールする気はなく、仮に友人と横島どちらを選ぶかと言われると軽々しくは判断出来ない。

ただ結婚して一生添い遂げるということではないのだし、万が一誰かが横島の最後のラインを越えたならば一緒に着いていくのもアリかとは考え始めていた。


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