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ただ今修行中!?

「げっ、もしかしてかなり税金高いんじゃあ…… 俺そんな金無いぞ?」

うろ覚えの知識で高額所得者はかなりの税金がかかると聞いた事のある横島は、顔色が真っ青になる

魔鈴と仕事して貰ったお金はほとんど手付かずで貯まっているが、それでも全く足りない


「よろしければ私がお貸しましょうか?」

厳しい視線で横島を見つめる百合子に、魔鈴は遠慮気味に語りかける

魔鈴の場合は魔法関連の資料やアイテムの収集に支出の大半が消えるためそれほど裕福では無いのだが、幸いにしてアシュタロスを退治した際の懸賞金や報奨金は貯金に回していたのだ


「気持ちは嬉しいけどダメよ。 これは忠夫の不始末なんだから、自分で銀行からでも借りてきちんと払いなさい」

百合子は少しだけ魔鈴に笑みを見せるが、即座に厳しい表情に戻ってしまう

横島の金銭感覚がしっかりしたものならばよかったかもしれないが、中途半端な現状では第三者が助けを出す事はいい事ではない


「魔鈴さんもお金に関して忠夫を甘やかさないでね」

イマイチ脇が甘いと言うかお人よしな魔鈴にも、百合子はキッチリと釘を刺す
 
 
(この子も少し教育が必要かしらね)

横島と魔鈴の絆の強さは理解してるが、だからこそ魔鈴にももう少し教育が必要かと思う

令子と言う明確な敵が居た頃はそれなりに気を使い警戒していた魔鈴だが、現在の魔鈴は甘いと百合子は見ていた


(私が元気なうちに、自分達の身は自分達で守れるようにさせないとね)

チラリとタマモやシロや横島を見た百合子は、これから先も彼らを利用しようとしたり狙う連中が出てくる事を警戒している

今現在は可能性が低いが、50年後や100年後どうなるかなど誰もわからないのだ

少なくともアシュタロスを倒した横島と金毛白面九尾のタマモは、一生周囲に気を配る必要がある

相手が敵として現れるなら問題無いかもしれないが、利用しようとする人間などは敵として現れる事などまずない

百合子は自分達夫婦が亡くなった後まで考えて、魔鈴やタマモ達を教育して行こうと密かに決めていた



結局横島の税金に関しては、百合子の知り合いの税理士に頼んで調整してもらう事で収まる

現実問題として美神事務所との打ち合わせも多少は必要であり、つじつま合わせはかなり大変なのだ

足りないお金に関しては、大樹が保証人となり銀行から借りる事で話がまとまった


「くっ……、なんで俺がこんな目に……」

社会人になった早々に数千万の借金を抱えるハメになった横島は、理不尽な現実に悔しさでいっぱいだった


「騙された忠夫が悪いんだよ。 悔しかったら騙されないようになりなさい」

厳しい言葉の百合子を魔鈴達は静かに見つめているが、内心複雑な気分である


(この方法では横島さんの自己嫌悪や自己不信が強まるだけなのでは……)

全て自己責任で解決させようとする百合子に対して、魔鈴は少しやり方が乱暴だと感じていた

百合子が横島の甘さを直そうとしてるのはわかるが、そもそも横島の問題は過度な自己不信にある


(私が口出しする問題ではないのですが、見てるだけと言うのも……)

横島と百合子の微妙に合わない教育問題に、魔鈴はどうすればいいのか苦心していた


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