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平和な日常~冬~6

「確かにそれなら届くけど、最後まで相手が名乗りでなかったしな。 霊能者並みに妨害念波が送れるほど関わった女の子って居たか? そもそも残留思念が生まれたからと言って好意と限らんし……。」

木乃香の一言により横島は過去を思い出してみるが、今回は言い出せなかった送り主への配慮からかおキヌや令子の記憶が見えることがないらしく横島は自身の記憶だけを元に当時のことを再検証してみる。

確かにジャンプしたり踏み台があれば届くが、問題は残留思念が生まれたことと妨害念波が送られたことだ。

ただ残留思念は別に好意でなくとも恨みなどのマイナスの想いでも生まれる可能性はあるし、妨害念波は可能性としては霊能者の可能性が高いがそれだけ強い想いがあれば一般人でもあり得ない訳ではない。

元々学校は休みがちでクラスでは浮いた存在だと自覚がある横島は、正直それほど好かれた記憶も恨まれた記憶もない。


「まさか美神さんの悪ふざけか?」

ぶっちゃけあそこでタイミングよく令子が学校に姿を現さなければあんな展開はなかったかと思うと、全ては令子の悪ふざけではとの結論に達してしまう。

現にこの件に関しては何故か令子の記憶が見えないことから横島は何故か犯人は令子だと決めつけてしまった。

まさか友人だった愛子が送り主だとは思いもしないらしい。


「やっぱり嫌がらせというか、たちの悪い悪ふざけだった。」

「ほんまにそうなん?」

「なんか大事なとこが抜けてませんか?」

結局やはり嫌がらせだったと落ち込む横島であるが、木乃香とのどかはそもそも横島の女性絡みの話は全く信用してないので横島の推測をかなり本気で疑っている。


「今更か。 過去のことを嘆いても仕方ないな。 さあ、なに作ろうか?」

しかし最終的には木乃香とのどかでは正解にたどり着けるほどの情報はなく、横島もすぐに過去のことだからと気持ちを切り替えてチョコ作りに戻ってしまう。

木乃香とのどかはなんとなく横島の悪循環の典型を見た気がするが、彼女達に出来るのは自分達が同じ過ちを犯さぬようにするだけだった。

まあ実際に横島は麻帆良に来て以降は普通にモテてるので、自分はモテないなんて他の男性に言えば激怒するだろう。

木乃香達を始め周囲の女性や店の常連は横島をよく知る故に笑って済ませているが。


「やっぱりうちの店はケーキやないん?」

「生チョコなんてどうですか? 普通のチョコレートはどこでも買えますから。」

その後少し微妙な空気を変えるようにチョコレート作りを始めるが、やはり横島の店でチョコレートを売るならケーキ類か生チョコのような物がいいのではという話になる。

甘いチョコレートの匂いが厨房に広がりそれがフロアにも届いたせいか、横島達がチョコレートの試作を始めるとチョコレートパフェやチョコレートを使ったスイーツが売れ始めるなんてこともあったが。


「あんまり高いのはやっぱりね。 普段よりは高くてもいいけど。」

「マスターの普段の味で十分だけど、見た目は特別感あったらいいかな。」

「美味しい!」

ちなみに試作品が出来ると横島達はバレンタインチョコなんかに詳しそうな今時の女の子である美砂達に試作品の試食を頼みアドバイスを貰うことにして、桜子は微妙に役に立ってないが彼女達のアドバイスの元でバレンタイン用の試作は続くことになる。



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