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平和な日常~冬~6

そしてまた同じ日の夜、横島の店には大人バージョンのエヴァとチャチャゼロが二人で来ていた。

店主が横島であることもありエヴァは呪いからの解放以降、夜などはチャチャゼロを連れて来店することもしばしばある。


「あの船だが茶々丸に見せてもいい物なのか?」

いつものように店の奥の席で酒を二人だが、この日は暇なのか店を閉めて横島も付き合っていた。

そんな時ふとエヴァは数日前から気になっていたことを横島に尋ねる。


「いいんじゃないか? 減るもんじゃないし。」

「茶々丸は超鈴音が定期的にメンテナンスをしているぞ。」

「超さんかぁ。 まあいいよ。」

元々はなんとなく欲しいと言って貰ったクルーザー型の水空両用船であるが、エヴァ自身はそれをどこまで秘密にすればいいのは判断しかねていた。

横島や近右衛門はエヴァに超鈴音の詳しい情報は与えてないのだが、エヴァ自身は超鈴音が未来から来てることをだいぶ前に本人から聞いて知っており彼女が横島とは違う価値観と未来を見てることは言われなくても理解している。

今のところ相手が超鈴音ではどちらにも味方する気はなく、同時に自分が騒動の種になるのも嫌であった。


「茶々丸ちゃんを通して得られる情報は限られてるしな。 それに言ってなかったけどあの船メインシステムはブラックボックス化してるから、不用意に解析や分解するとメインシステムが消滅する仕掛けがあるんだわ。 だからエヴァちゃんが居ない隙にって考えても問題はないよ。」

ただ横島としては元々は輸出用の船だけに技術漏洩の対策はしてある物なだけにあまり気にしてない。


「そうか。 貴様、超鈴音が何をしようとしてるのか知ってるのか?」

「ああ、知ってるよ。 一言で言えば過去の改編による未来の救済らしいぞ。 前にチラッと言ってなかったか? 魔法世界は時期に崩壊するって。 その崩壊した未来から来たみたいだからな。 ついでに彼女はスプリングフィールド一族の子孫だったりするけど。」

自分が騒動の種になることがないと理解したエヴァは少しホッとするが、彼女はほんの僅な好奇心からついそのまま超鈴音のやろうとしてることを横島に聞いてしまう。

元々エヴァは超鈴音に味方してる訳ではなく身の回りの世話をさせるガイノイドを貰い受ける代わりに、自身の魔法技術を一部提供したに過ぎない。

エヴァはその際に超鈴音が未来から来たことやある目的の為にいつか茶々丸を借りると聞いていたが、当時はそれ以上は知りたいとも思わなかったし興味もなかった。

どうせ自分には選択の自由はないのだし、自分を苦しめる近右衛門達が困ればいい気味だと内心で思った程度なのだ。

だが今のエヴァは自由であり自分の未来は自分で決めねばならない。

超鈴音の件に関しても半ば傍観者のままではいられないことを理解している。


「過去の改編だと?」

「この世界だと人間でも歴史は比較的簡単に変えれるみたいだしな。 実際超さんの歴史と現状はだいぶ違う。」

「それは、半分は貴様のせいではないのか?」

「ピンポーン! 当たり。 まあ俺も積極的に変えようとして変えた訳じゃないんだけどな。 怒るなよ。 エヴァちゃんの呪いから解放されるのは彼女の歴史よりだいぶ早いんだから。」

ほんの僅な好奇心から聞いてしまったエヴァに対して、横島は考えることもなく軽い口調で超鈴音の正体や目的を話してしまう。

その実力から決して侮れる存在ではないが、エヴァは現在の横島にとって気心が知れてる相手でもある。

言葉には出さないが世界や人間に絶望した経験は近右衛門達や木乃香達には理解出来ないだろうが、エヴァなら理解出来る気がしていた。

対するエヴァは超鈴音の目的が彼女から見て過去の改編だと聞きなんとも言えない表情をする。

一言で言えばエヴァにしても迷惑な目的以外の何物でもない。

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