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平和な日常~冬~5

「うひゃ~、冷たくて気持ちいい。」

「こういう場所に来ると魔法使いもなってみたい気がするわね。」

「本当ね。」

一方真っ先に海に来ていた美砂達三人は海に飛び込み、真冬に南国で海水浴が出来ることは魔法使いの利点の一つだなと少し勘違いしていた。

まあ彼女達も横島とエヴァは特別なのはなんとなく感じては居たが。


「あれって高畑先生じゃない?」

「高畑先生、こんにちは! 魔法の練習ですか?」

そのまま今夜の夕食の食材を置いた横島と木乃香達に先程屋上で話をしていたエヴァと刀子達などが続々と砂浜に降りてくるが、そんな時彼女達が集まった砂浜から少し離れた場所では高畑が一人魔法の練習をしていた。


「ああ、そうだよ。 魔法の矢という基本的な魔法の練習さ。」

少女達も相変わらず横島宅での夕食後に店を閉めた店内や二階のリビングで魔法の練習をしていたが、長くても一時間しか出来ないし毎日ではないので全然成果が出てない。

見た感じからして地味な火を灯す魔法ではなく、魔法らしい魔法の矢に少女達は興味があるらしく高畑の元に行き話しかける。


「凄いですね!」

「まだまだだな。 撃つのが遅すぎる。 あいつの軽い口のように軽く早く撃てなくてはつかいものにならん。」

高畑は十本ほどの魔法の矢を海に連続して放っていてその光景は魔法をよく知らぬ少女達から凄いと歓声が上がるが、高畑に魔法を教えているエヴァが嫌みのような冗談のような口調で高畑の魔法を評価すると横島や少女達ばかりか刀子までもが爆笑してしまう。


「実際のところ事実なのよね。 魔法の矢は基本的な魔法だけにほとんど誰でも使えるわ。 ちょっと魔法に長けた人ならアレンジだって出来るし呪文を詠唱しない無詠唱だって出来るわ。 高畑先生クラスが実戦で使うにはただ使えるだけじゃダメなのよ。」

別荘の存在をうっかり漏らした高畑はエヴァにそれをいじられるネタにされているようで苦笑いを浮かべて誤魔化しているが、刀子は実際にエヴァの語ることは事実だと少女達に教えていく。

基本的な魔法である魔法の矢は魔法が使えればほとんど誰でも使えるのだが、故に実戦で使おうと思うならそれなりに熟練度を上げる必要があるのだ。


「なんかもっと素人でも使えるお手軽な魔法ってないのかしらね。」

「ないこともないぞ。 符術の類いならな。 要はめんどくさい呪文の詠唱が無きゃいいんだろ。 威力はお遊び程度だけど。」

魔法の難しさと奥の深さを感じる少女達であるが、イマイチ興味が持てない明日菜は素人でも使えるお手軽な魔法はないのかと愚痴るように溢す。

高畑は流石にそんな都合のいいものはないと言いたげであるが、横島はないこともないと微妙な言い回しで影の中から何かのお札の束を出していた。


「こいつは破魔札って言って素人でも人が本来持つ力で使えるもんだ。」

驚く高畑や瞳を輝かせる少女達に横島は破魔札を何枚か配ると、お札を投げるなり叩き付ければお札が使えると説明する。

それに興味津々な少女達な次々と砂浜に破魔札を投げていくものの、実際には爆竹程度の爆発音と微かな閃光があるだけでかなり地味だった。


「うわっ、凄い凄い!」

ただ初めて魔法らしい魔法を使えたことは今まで杖を振るだけだった少女達には嬉しいらしく、まるで昼間から爆竹で遊ぶ子供のように夢中になる。

ちなみに少女達に渡した破魔札は前世界で一円で売られていた物であり、値段も紙の代金そのままで普通は全く役に立たない代物であるが。

何故こんなものがあるのかと言うと見習いの練習用にと、とにかく安くを目的に開発された破魔札で製造元は六道家の関連企業だった。

実際に実戦ではほぼ使えないが時々使えることと見習いの練習用にと結構売れていた品である。

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