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幻の初恋

1時間後…

小竜姫のお説教は意外な形で終わりを告げる


グ~~


横島のお腹が限界の声をあげた


「プッ… そろそろ朝ご飯にしましょうか」

小竜姫は思わず吹き出して笑ってしまう


「はい!」

横島はようやくお説教が終わり、嬉しそうに顔をあげるが動かない


「横島さん、妙神山に行きますよ?」

小竜姫は不思議そうに横島を見る


「あの… 足が痺れて動けません」

横島はゆっくり正座を崩して苦笑いした


「あら? まだ1時間ですよ。 修行が足りませんね~」

小竜姫にとっては正座は普通なようだ


「無理言わんで下さい。 俺は普段正座なんてしないですから…」

横島は困ったように抗議の声をあげる


「ウフフ… まあ、横島さんですしね」

言い方は悪いが小竜姫は結構楽しそうに笑う

「そう言えば、横島さん今日の予定は?」

小竜姫は思い出したように尋ねる


「ああ、学校はもう遅いんで、美神さんの事務所に顔を出そうかと…」

横島の表情が暗くなる

一週間も連絡無しで休んだのだ

ただでは済まない


「それでしたら、私も参ります。 先日の説明をしたいですから」

小竜姫はニッコリと微笑むが、その瞳には闘志がみなぎっていた

(いよいよ決戦ですね… 横島さんは私が守ります)

どうやら小竜姫は説明は口実らしく、令子から横島を守りに行くつもりのようだ


「そうっすか? それは助かります! 美神さん俺の話聞かないから、またシバかれるとこでしたから~」

横島は小竜姫が上手く説明してくれると思い喜ぶ


「はい、横島さんは私が守ります」

横島の喜ぶ姿を見て、小竜姫も嬉しそうに微笑む


「小竜姫さま…」

そんな小竜姫に横島は見とれてしまう


そしてその言葉を最後に会話が途切れて、2人は熱く見つめ合った


そのまま横島と小竜姫は自然とお互い近付いて行き…

小竜姫は自然に目を閉じる


横島はドキドキと痛いほどの胸の鼓動を感じつつ、そんな小竜姫に近づく

(いいんだよな…?)

横島は自分に言い聞かせるように心で問いかけ、ゆっくり小竜姫に口づけをする

横島と小竜姫は、お互いのドキドキが伝わるような、ぎこちない口づけを交わす

その時、横島はなぜか煩悩が働かなかった

目を閉じ、自分の前で完全に無防備な姿をした小竜姫

その姿は美しく見えた


そう感じたら煩悩では無く、愛おしさが横島の心に広がっていたのだ

結果として無意識ではあるが、ムードを壊すことなかった為、横島のキスは成功していた


「横島さん…」

「小竜姫さま…」

近い距離でお互い再び熱く見つめ合う


「小竜姫~! お腹が空いて死にそうなのねー!」


ビクッ!?

突然の第三者の声に横島と小竜姫は慌てて離れる


「あれ… もしかして邪魔しちゃった? ごめんなのねー」

ヒャクメは一目散に逃げ出す


「全くヒャクメは… 仕方無いですね。 ご飯にしますか」

小竜姫は間の悪いヒャクメに苦笑いを浮かべる

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