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GS横島 運命と戦う者

それから1ヶ月

横島は地味に基礎ばかりをしていた


妙神山の再建はほぼ終わり、横島は霊力の扱いや剣術の基礎は着実にレベルアップしていた


元々力はあるがそれを全く生かしてなかった横島なので

小竜姫や老師から見ても早いスピードで実力をつけていた


ルシオラとパピリオは力はあるので戦闘技術を中心に修行をしていた

タマモは横島と同じく基礎から妖力のアップを目標にしていた


戦闘技術は力を取り戻せば、前世の記憶と共に思い出す可能性が高いため、転生したばかりで弱い妖力を中心にレベルアップに励んでいた



ある満月の夜

タマモは一人満月を眺めていた


「寝れませんか?」

そんなタマモに声をかけたのは小竜姫だった…


「ううん… 満月だから見てたの…」


後ろを振り向かないでタマモは答えた


小竜姫はタマモの隣に座った


「ここに来て1ヶ月を超えましたがどうですか?」


小竜姫も満月を眺めて話しかけた


「幸せよ… 生まれてすぐ人間に殺されかけた… それを思えば本当にね…」


タマモは少しつらそうな表情になった


「あなたは運が良かったですよ。 横島さんに出会えて…」

顔を見ないがタマモの口調で、ツラいのだろうと悟り小竜姫は呟いた


「そうね… 横島達には感謝してる… でも、横島もあなた達も不思議だわ…」


タマモにとって今の環境は幸せだった

だが不思議な環境でもあった


人間と神族や魔族、そして妖怪の自分がなんの違和感無く生活している


それは普通考えられないことだった


「横島さんがいるからですよ… 彼のおかげで私は変わったのだと思います。 恐らくルシオラさん達も同じでしょう… 私も横島さんに会う前は魔族と仲良くするなど考えられませんでした… それがいつの間にか… 気がついたらこうなってました」


小竜姫は優しく微笑みながら話した


「本当に不思議な人間だわ いつの間にか人の心に入り込んでる…」


タマモは横島が理解出来なかった

だが不快では無かった


家族と言われて、普通に生活するのが当たり前になっていた

それは長い時間を生きた前世でも、有り得ないことだろうと感じていた


自分を妖弧と知って家族になったのだから……


タマモがそんなことを考えていると、小竜姫が険しい表情になっていたのに気がついた


「ここは平和です。 ですが… 世界は今非常に不安定です。 あなたが生まれる前にアシュタロスと言う最上級の魔王が人間界に攻撃をしかけて来ました。 その魔王が人間に負けて滅びました。 自ら滅びを願って… そしてアシュタロス亡き今、神魔の力関係は崩れています。 それにより神魔は緊張感に包まれてます。 過激派はこの機会に戦争をしようと画策したりしてますしね…」


小竜姫は苦々しく話した


「魔王が人間に… そんなことありえるの? それになんで私に神魔の秘密を教えるの?」


タマモは驚き、初めて小竜姫を見て聞いた


「魔王を倒したのは横島さんです。 そしてルシオラさん達は魔王の部下でした。 彼女達は魔王により一年の寿命に制限されていました 横島さんは彼女達を救う為に魔王と戦い勝ったのです… その魔王は滅びを願ってました。 彼ほどの魔王は魂の牢獄に捕らわれるため死ねません。 死んでもすぐに蘇ってきます。 彼は滅びたかった 神魔は永遠に敵同士です。 そして彼ほどの魔王は永遠に戦い続けないといけない… 彼はそれが嫌だったのです。 アシュタロスはその昔、神でした。 永遠に悪役として弱き者を踏みにじるのに耐えられなかったのです。 あなたにこの話を教えたのはあなたは知るべきだと思ったのです。 そして今の現状はいつ神魔戦争が始まってもおかしくない。 神魔戦争が始まれば… 世界は滅びるでしょう…… 私はあなたも横島さん達も家族と同じだと思ってます。 私達は今の幸せを噛みしめてしっかり生きるしかないのです」


小竜姫はタマモに優しく微笑んだ


タマモは小竜姫の話に驚き、何も考えられなかった


人間が魔王に勝った…?


彼は英雄になるのだろうか…?


世界が危うい…?


「ありがとう。 小竜姫さん… 私もみんなとずっとこのまま生きていたい…」

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