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平和な日常~冬~5

それから一週間ほど過ぎて一月も下旬に入ると麻帆良亭限定復活の日が近付いていた。

横島は食材の仕入れなどの確認をしたりはしたが、他の広報活動などに関しては木乃香達に任せっきりで事実上夕映とのどかが中心に行っている。

告知のポスターなんかはハルナがデザインした物を前回の反響を考慮して、横島の店は元より宮脇兄妹の食堂や新堂の店に超包子各店や雪広グループに那波グループの関係店など知り合いに頼んでかなりの数を掲示させてもらっていた。

他にも報道部発行の雑誌などでも紹介記事を掲載してもらっているし、体育祭以降麻帆良に定着した芦コーポレーションのSNSカグヤでも麻帆良の情報として掲示している。



なお芦コーポレーションのSNSカグヤについては麻帆良ではかなり定着してメジャーな存在となっているが、麻帆良外でも大学生を中心に日本国内で急速に利用者が増加し始めていた。

この時代としては最も厳しいセキュリティに加えて過剰な課金押しをしてないなど全体的な評価が高い事が原因としてあるものの、芦コーポレーション自体が昨年末から雪広や那波など麻帆良派企業と協力出来たことも影響としては大きかった。

海のものとも山のものとも知れないベンチャー企業のSNSを日本で有数の一流企業が認め、正式に協力出来たことは予想以上に社会的な影響が大きかったのが現実である。

収入の面でも両社がSNSに広告を出してくれたことで、同じく広告を出したいとの申し込みが急増しており右肩上がりになっているし。

その他にも以前から準備していたインターネットを利用した通信販売事業においても雪広・那波の両社が協力することになったので、計画をかなり前倒しにして今年の春には一部商品の販売を始める予定なのだ。

当初の計画では担当する人材の確保から始まり販売する商品集めや配送に至るまで自前でシステムを構築する必要があったが、その手のノウハウどころか独自の流通網がある大企業の協力により手間が激減している。

まあ実際には雪広や那波にしても新世代の通信システムであるインターネットでの事業に早くから加われるのはメリットが大きい。

加えて普通ならば下手なベンチャー企業と組むと様々なリスクが高くなるが、芦コーポレーションの場合は経営者の有能さは異空間アジトに行った雪広・那波の両家はよく理解しているのでリスクは限りなく低い。

それとこれは以前にも説明したが横島側にも情報提供などの協力に対する報酬は必要であるし、横島を麻帆良に繋ぎ止める環境も早く整えたいとの思惑も絡んでいた。

横島自身は下手に縛り付けると逆効果になることは近右衛門達も理解はしているが、それでも周囲を固めて横島が麻帆良を離れたくないように仕向けるのは一定の効果があるだろうとみている。

まあ単純に考えて麻帆良の将来の為には横島側と雪広・那波の協力はより親密にしていくことが必要なのは、考えなくても分かることではあるが。



「予約だけで三十五件か。 相変わらず人気だな。」

さて話は戻り麻帆良亭限定復活に関しては坂本夫妻の意向で事前に予約を受け付けていた。

麻帆良亭の元常連は年配者が多いことから前回のように並ぶのも大変だろうと今回は予約も受け付けたのだが、現時点でも予約数は三十五件と結構な予約が入っていて相変わらずの人気のようである。

当日横島は恐らく厨房から離れられないので予約席の確保などは坂本夫妻の妻と夕映達に任せるしかないが、横島は大丈夫だろうと思っていた。

加えて美砂達にも臨時でバイトを頼んでいるので前回のように混雑しても対応出来るだけの準備はしている。

麻帆良亭に関しては横島はあくまで助手なので結構気楽であった。

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