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GS試験再び……

そして残った雪之丞の試合だが、こちらは安定感抜群の試合運びで危なげなく勝ち進んでいた

さすがにGS試験を勝ち進んで来ただけあって相手もそれなりに強いのだが、武器の持ち込み制限のあるGS試験では雪之丞に勝てるはずもない

元々対人戦闘が得意な雪之丞に有利過ぎる試験である


「決勝の相手は六道女学院の卒業生すっね」

「順当な結果でしょうね。 突出した能力はありませんが、戦い慣れてます」

いよいよ決勝戦を前に、観客席では横島と魔鈴が対戦相手について話していた

決勝の相手は六道女学院の卒業生で、雪之丞やタイガーの活躍であまり目立って無かったが堅実に勝ち上がって来た相手である

知っての通り六道女学院は生徒同士による模擬試合などを常に繰り返し行っており、他の受験者よりも試験対策が練られているのだ

受験者同士による試合という特殊な試験だけに、たくさんの霊能者との試合経験がある六道女学院の生徒はかなり有利な状況であった



「手加減は無用に願います」

試合開始直前、対戦相手は少しキツそうな表情で雪之丞に語りかける

その言葉と表情には霊能者としてのプライドが見え隠れしており、どこか弓かおりを思い出させる感じであった


(ここの連中は少しプライドが高すぎないか?)

戦う者として相手の気持ちは良く理解してる雪之丞だが、同時に高すぎるプライドには苦笑いを浮かべたくなる

それに六道女学院の観客席からは対戦相手を応援する黄色い声援が飛んでおり、会場内は女子高独特の空気になっていた


(住む世界が違うな……)

一度はお尋ね者になった雪之丞にとって、六道女学院の生徒はまるで違う世界の人間にみえている

そんな中で六道女学院の席に居るかおりを一瞬だけ見たが、特にそれ以上の感情は沸き起こらない


「試合開始!」

そしていよいよ試合は始まるが、雪之丞は動かない


(手加減無用って言われてもな~ 全力を出せば非難を受けるのは俺だし……)

相手はただ全力で対戦したいだけなのかもしれないが、雪之丞としては出来ない相談だった

まあ昔の雪之丞なら遠慮無く全力を出して相手に答えたかもしれないが、今はそんな気が起きない

万が一ケガでもさせたら、雪之丞が悪者として非難を受けるのは明らかなのだ


試合の方は今までの試合と同じく本気を出さない雪之丞に、相手は苛立ちを感じながら本気を出させようと責めていく


そんな対戦相手は霊力や戦い方も基本に忠実で悪くないが、それだけだった

六道女学院という限られた環境では通用した実力も、プロのGSから見ればそれほど驚くほどではない

あまり厳しい現実を知らない辺りは、お嬢さま学校の六道女学院の生徒の特徴とも言えた


「本気を出しなさい!!」

「必要になったら本気になるさ」

苛立ちの表情で叫ぶ相手に、雪之丞は若干困ったように答える

相手が世間知らずなお嬢さまなだけに、その扱いに困っているようであった


煮え切らない雪之丞の態度に相手は苛立ちを募らせていくが、その実力差はだけはどうしようも無い

仮に令子であれば機転を利かせて実力差に関係無く勝機を見つけるのだろうが、本当の実戦経験に乏しい相手にはそんな技術があるはずが無いのだ
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