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その二

そうして今は亡き光秀を偲びながら、横島達は京都の料理を堪能してゆく


「なんか、いろいろ濃い修学旅行だわね~」

食事が終わる頃、愛子は感慨深げな笑みを浮かべる

学校から離れることの少ない愛子にとっては、いろいろ刺激的過ぎたのだろう


「横島さんは割といつもこんな感じじゃないですか?」

愛子の意見に頷く加奈の近くではピートがボソッとつぶやく


「ピート…、そりゃどういう意味だ?」

まるでトラブルメーカーみたいに言われた横島は、少しムッとしてピートを睨む


「いや… 別に深い意味は…」

慌ててごまかすピートを見て魔鈴はクスクス笑ってしまう


「そういえば、忠夫さん。 ずいぶん騒がれたみたいですね?」

笑顔のまま横島を見つめる魔鈴だが、少し言葉にトゲがある


「そうなのよ! 人混みで素性をばらしちゃったもんだから大変で大変で…」

魔鈴の話に、愛子と加奈が先日の騒ぎの件を事細かに話していく

横島はまるで親に告げ口される子供のように困った様子で、どうやって話を変えようか悩んでいた


「皆さんすいませんでした。 忠夫さんには常々自分の存在感について話してるんですが…」

愛子と加奈とピートとタイガーに、魔鈴は申し訳なさそうに謝る


「私達は気にしてないわよ。 近畿君と会えたしね」

謝る魔鈴に、今度は愛子達が申し訳なさそうに言葉をかけた

愛子と加奈にしてみれば、いろいろあったが結果的に楽しかったのだ

銀一に会えたしドラマ出演と言ういい経験も出来たので、魔鈴に謝られると逆に心苦しく感じてしまう


「まあ、今度から気をつけるって… 飯も食い終わったし、どっか観光に行くか?」

一刻も早く話を変えたい横島は、笑ってごまかして次の観光先を探すが…


「そうですね。 この話は帰ってからにしましょうね」

魔鈴は笑顔で横島を見て、話を帰ってから続けると告げた


「あはは…」

笑ってはいるが魔鈴の様子を伺う横島を、愛子と加奈は面白そうに見ている


(やっぱり肝心なとこは魔鈴さんが強いのね…)

(横島君だもんね~)

ある意味横島らしいその姿を二人は楽しんでいた



その後は夕方まで京都市内を歩き回り、あちこちでお土産を買いあさっていく

先日の件で横島と魔鈴とピートはたくさんの人に声をかけられるが、魔鈴がうまくかわしている

今まで苦労していた愛子と加奈が、そんな魔鈴の手際の良さに感心したのは仕方ないことだろう


同じように人気の出た二人なのに、あまりに違い過ぎる横島と魔鈴だが、愛子達は魔鈴を見てある意味納得していた

この人だからこそ横島を短期間でここまで変えれたのだと…


そして今までゆっくり話す機会の無かった魔鈴と愛子と加奈は、いつの間にか仲良くなっている

話の内容の大半が横島の話だったので横島自身は話に加われなかったが、そんな三人の仲の良さそうな姿を見て嬉しさを感じていた



そして…

魔鈴は夕方になると一足先に東京に帰っていく

横島達はその日一日京都市内の旅館に泊まり、次の日予定通り修学旅行を終えることになる


前回行かなかった修学旅行での出会い

それが横島と魔鈴の未来にまた新たな展開を与えることになるのだが…

それはもう少し先の話である



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