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GS試験再び……

試合の方は一方的に相手のペースだった

テレパスを防がれたタイガーは相手と同じ条件で戦うのだが、戦いの動きとスピードは相手が上である

パワーと霊力量ではタイガーが上だが、タイガーのスピードでは相手に当たらないのだ


それに加え雪之丞達との試験対策はGS試験取得を最優先にしていた為に、テレパスを防がれた後までは対策をしてない

不器用なタイガーでは、そこまで教える時間が足りなかったのである


(クッ、ワッシは……)

防御を固めつつ必死に反撃をするが、やはり相手にダメージを与えられない

きちんとしたGSとしての戦いをしている相手に、タイガーの攻撃は全く当たらないのだ

この辺りの教えられた以外に応用力が無いのもまた、タイガーの致命的な弱点だった


そして試合は長期戦になっていく

タイガーが不利なのは変わらないが、持ち前のタフさと防御に相手もまたタイガーを倒すだけの決め手に欠けている

元々相手は武器などを使うオーソドックスなタイプの霊能者だが、この試合は持ち込む武器の代わりに霊視ゴーグルを持ち込んだため相手もまた決め手がないのだ


「勝者、タイガー寅吉!!」

そして今大会一番長い試合は、辛うじてタイガーの勝利に終わる

総合力では相手が上だが、タイガーの人並み外れたタフさと防御力を相手が破れなかったのであった



だが、問題は試合後に起こる

「タイガー君、残念だが君の体では準決勝に進む事は認められない」

試合後、今回の試験から安全対策として導入した医師と心霊治療スタッフによる診察を受けたタイガーは、ドクターストップを宣告されてしまう

これもGS試験改革の一つであり、敗者は元より勝者も試合後に医師の診察を義務付けられている

一般人から見ても分かる安全対策と、試験による死者を無くす事を目的として今回から導入されていた


「そんな、ワッシはここまで頑張って来たのに……」

「命に関わるダメージでは無いが霊力の消耗も激しいし、これ以上の試合の継続は危険だと判断する」

医師の言葉にタイガーはショックを隠しきれない

エミや雪之丞や横島達などたくさんの人に助けてもらっただけに、せめて最後まで戦い抜きたかったようだ


「君、何か誤解してないか? 試合の継続は不可能だが、GS免許取得資格は獲得しているのは変わらないよ」

同席していた協会職員は不思議そうにタイガーに説明する

タイガーの意思で棄権した訳で無い以上、GS免許は交付されるのだ

試合の継続不可能なのが残念なのはわかるが、一応免許取得したのだからそれほど落ち込む必要は無いと思う


「へっ……、じゃあGS免許は?」

「ああ、GS免許取得おめでとう」

「うぉぉーー!!」

予想外の結果にてっきり免許取得失敗だと思っていたタイガーは、協会職員の言葉であまりの嬉しさに大声で泣き出していた

今まで溜まりに溜まった様々な想いが、緊張の糸が切れた途端に溢れて吹き出してしまったようである



結果、タイガーのGS試験はベスト8と言う成績で幕を閉じることになる


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