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平和な日常~冬~5

そのまま話は魔法協会の仕事や麻帆良学園との関係に役割分担など続くが、きちんと理解しながら聞いてるのは半分ほどで後はなんとなく聞き流してる。

長々と説明はされても自分達が魔法協会に加わる訳ではないので興味があまりないのが現状なのだ。


「実は貴女達は今のところ魔法協会には入りたくても入れられないのよね。 ここまで話したし気付いてる人も居ると思うけど、近衛さんは東西二つの魔法協会の後継者候補の筆頭なのよ。 近衛さんが実際魔法協会を継ぐかは別にして現段階で近衛さんや親しい友人があんまり動くと魔法協会を運営する学園長先生や近衛さんのご両親に影響が出ちゃうから。 それと横島君の件もあるしね。」

「ごめんな~、ウチのせいで」

そして肝心の少女達の今後については今のところ誰も魔法協会に加わりたいなんて言ってないが、刀子は現段階では彼女達が魔法協会に加われない訳を説明し始める。

理由の原因が主に木乃香であることに木乃香自身は申し訳なさそうにみんなに謝るも誰一人として進んで魔法協会に加わりたいとは考えてないようで気にしてなく、むしろ刀子が最後におまけ程度に付け加えた横島の名前になんとも言えない笑みを浮かべていた。

横島の件については一昨日エヴァが警告をしたので刀子はあえて詳しく語らなかったが、ここに居るメンバーは魔法関係者にでさえ横島の秘密を守らねばならない立場になっている。


「魔法に関しては私が教えられるし、別に他の魔法関係者に会っても魔法を知らないことにしろとは言わないから。 形式的に所属出来ないだけよ。 それと横島君とエヴァンジェリンさんは元から所属してないから、麻帆良にもフリーの魔法使いはそれなりに居るしあまり気にしなくてもいいと思うわ。」

ここに居るメンバーは現段階ではフリーのはぐれ魔法使いと同じ立場になるが、あくまでも形式的な問題であってあまり煩く魔法関係者にまで全てを隠せと言うことではないらしい。

横島は現在公式には近衛家が私的に雇った魔法使いという立場になっていて、木乃香に関しては東西の魔法協会に所属させないまま魔法を公開することになった。

現状では木乃香の将来はいずれ成人したら本人選ばせるとなっていて東西二つの魔法協会の微妙な関係に影響を与えたくないとの理由が表向きにあるが、実際には魔法世界の限界などで東西の魔法協会は今忙しいので後継者問題など議論する余地は無いのが実情である。


「ねえ、ところでマスターはどうしてたの? きちんと隠してた?」

「俺はもちろん、ちゃんと隠してたぞ。」

「いや、横島君はね……。」

とりあえず魔法協会に所属はしないが魔法を知ってることは関係者に無理に隠さなくてもいいと理解した少女達であるが、ふとここで気になったのは横島が今までどうしてたかであった。

それを尋ねたのは美砂であり横島はもちろんちゃんと隠してたと胸を張るが、刀子はどう説明すべきかと悩み困ったような表情を浮かべる。

確かに横島本人は魔法を使えることを口に出して言うことはなかったが、隠せていたかというと微妙というか隠せてなかった。

元々麻帆良に住むフリーの魔法使いに関しては魔法協会において最低限存在の調査は行われるので意外と知ってる人は多いのが現実だし、何より横島は麻帆良祭やタマモの保護やさよの実体化などではぐれ魔法使いにしては目立ち過ぎて隠せていたと言っていいのか微妙である。

明らかに隠してなかった訳ではないが本当に隠す気があったのかは周りからはよく分からない。

ただ少女達は刀子の困ったような表情から、横島が魔法関係者においても相応に目立っていたのだとすぐに理解した。

相変わらず本人に悪気はないし目立った原因が本人にないこともあるが、横島が時々語るように慎ましく生きてるようには見えないのだろうことは考えなくても分かる。


「まあ、普通に生活する分には大きな変化はないはずよ。」

結局刀子は横島のことを軽くスルーして話を纏めると、ちょうどお昼となりこの日の説明は終わることになった。
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