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平和な日常~冬~5

次に話したのは魔法協会の役割や魔法使いや関係者の仕事についてであった。


「そもそも魔法協会には主に二種類の組織が存在して一つはメガロメセンブリアが魔法使いの保護を目的に創設した関東魔法協会のタイプと、一つは元々古くからその国や地域にあった関西呪術協会のタイプがあるわ。」

まずは魔法協会の種類とその違いから説明を始めるがどうも先程の奴隷の件を引きずってるらしく、メガロが魔法使いの保護を目的としたと聞いても多少胡散臭く感じる少女が多いようだ。


「メガロメセンブリアに関しては地球側魔法使いの保護に一定の功績があることも確かよ。 私達が地球側の国家の干渉を受けないのは彼らと地球側の国家と条約があるからだから。 それと彼らの中には扮装地帯や貧困地域でボランティアをしてる人も居るわ。 高畑先生が以前出張だったのはそんな活動の為でもあったの。」

魔法協会の役割を簡単に説明する刀子であるが少女達のメガロに対するイメージが少し極端かなと感じたらしく、それを僅かでも修整するようにメガロ側の功績や評価されてる活動について話を始める。

横島がメガロ側にいい印象がないのは十分理解はするも、あまり極端な見方は少女達の為にはならない。


「個人のボランティアはともかく魔法使いの保護は勢力拡大の為なのでは? そもそもそれほど優しい国家ならば奴隷を廃止して助ける方が先だと思うです。」

しかし刀子の語るメガロ側の功績の裏に隠された訳を即座に見抜いた少女も何人か居て、夕映は魔法使いの保護はメガロ側の勢力拡大の方便ではと指摘する。


「今でもそうだけど昔は地球でもよくあったのよ。 保護を名目にした勢力拡大は。 それと自国の利益にならないことをする国家なんて何処にもないわね。」

そんな夕映の指摘に対し刀子と高畑は返答に困ってしまうが代わりに答えたのはさやかであり、彼女いわく夕映の指摘は当然のことで逆に自国の利益にならないことをする国家はないと語り現実を少女達に教えていく。

メガロ側の目的が勢力拡大であることは確かなのだがそれは当然であって、むしろ問題なのは現在の地球では地球側の魔法使いの利益とメガロ側の利益が合わなくなったことだった。

一昔前と違って現代の先進国などでは魔法使いが地球側の権力から弾圧されたりすることはほぼなく、逆にメガロ側に弾圧されたりする事が増えたせいだろう。

保護を名目に地球側魔法使いを支配していたメガロ側であるが、ここ半世紀ほどで地球側では世界情勢が激変して表向きではあるが人種差別や列強による植民地支配が無くなったことも影響している。

その結果いつまでも保護を名目にして支配するメガロ側が地球側にとって邪魔になったのが現状なのだ。

それと以前にも説明したが二十年前の戦争時の指揮命令権の強権発動も良くなかった。

メガロ側とすれば今まで守ってやったのだから自分達に従うするのは当然だと見るが、そもそも地球側魔法使いからすると一方的に保護を名目に支配したとしか見られず対立する原因にもなっている。

現状で魔法使いの地位を保護してるのはメガロメセンブリアと地球側列強国家による条約に由来するが、歴史の流れから見ると最早それは必要ないという見方もあった。

結局のところメガロメセンブリアの地球側進出は、欧米列強による植民地獲得の為の世界進出と表裏一体だったのだ。


「タマちゃん分かる?」

「ううん、わかんない。」

「わたしもちょっと……。」

そのままさやかは出来るだけ分かりやすくその辺りの歴史や事情を説明するが、明日菜やさよはイマイチ理解出来ないらしく頭にはてなマークが何個か浮かんでいる。

ぶっちゃけ二つの世界の裏側とも歪みとも言える問題を理解するのは簡単ではないというか、明日菜とさよは興味すらなかった。

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