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平和な日常~冬~5

その後は結局魔法を習うことには許可を与えた近右衛門であるが、同時に最低限の魔法関連の常識は先に学ぶようにと条件も付けていていた。

これにはブーイングとまではいかなくても不満そうな者もいたが、仕方ないと理解はするらしく大きな反対はないまま話は終わり翌日は朝から魔法関連の常識を教わることになる。

とりあえず本当に最低限の常識さえ覚えれば問題は起きないだろうとの配慮もあり、せっかく南国に来たのにと不満そうな少女には横島がまあ連れてくるからとなだめての結果であった。


「以上が麻帆良学園の簡単な現状よ。 質問はあるかしら?」

そして翌日になると近右衛門達大人組とエヴァは完全休日としてそれぞれゆっくり過ごしていたが、エヴァを除く少女達はホテルの会議室を借りて刀子と高畑を教師として魔法関連の常識を学んでいた。

東西魔法協会などの地球側魔法協会の説明は刀子が行い魔法世界の説明は高畑が行っていたが、現状で話したのは何処に魔法協会があって関東魔法協会との関係がどうかとどうして関係が悪いかくらいで具体的な話はしていない。

ちなみに横島とタマモも一応参加しているというか、横島は自分は知ってるからとタマモと遊びに行こうとしたが当然ながら少女達にズルいと言われ半強制的に参加させられることになる。

尤もタマモに関しては初めからみんなと一緒に勉強する気満々なので、横島が一人逃げ出そうとしていただけだが。


「眠くなりそうな話ね。」

「社会科の授業みたい。」

魔法世界というファンタジーな世界には好奇心を刺激されて興味を持った一同だが、話を聞けば聞くほどテンションが落ちてしまいめんどくさそうな表情に変わる。

それでも事前に最低限の常識を聞いている雪広姉妹や千鶴や木乃香に加えて夕映やのどかや夏美などは真面目に聞いているが、明日菜やハルナや美砂達なんかは小難しい話はあまり興味がないらしく半分聞き流していた。


「あっちは関わってもろくなことねえよ。 人に魔法の首輪付けて奴隷にしてる世界だからな。」

「首輪!?」

「奴隷って人権はどうなってるのよ!!」

そして興味が無さげなのは横島も同じで難しくて理解できないタマモと一緒にお絵かきを始める始末だったが、ポロッと溢すように魔法世界には奴隷が居ると告げると少女達の表情が一変する。


「正確には契約の一種で奴隷じゃないんだけどね。 だから一部制限は受けるけど最低限の人権はあるよ。」

「体裁はともかく内容は奴隷じゃないっすか。」

確かに少女達はファンタジーの世界に興味を示し憧れに近い感情もあったが、現実と変わらぬ人間関係の複雑さに加えて奴隷という人権を無視したような存在には普通に引いていた。

ファンタジーの物語には奴隷がよく出て来るが、実際にリアルに奴隷が居ると言われると危ない世界という怖さが先に出てしまう。

それでも高畑は本当に最低限の人権はあると説明するも、横島がそれを体裁だと切って捨てると言葉が続かない。

まあ実際に奴隷の扱いは魔法世界内でも様々でメガロメセンブリアなんかはまだ人権が守られてるが、辺境に行くと場所によっては人権など無視した地域も珍しくはない。

尤も田舎に行くと奴隷など買える金持ちが居ないので奴隷自体が珍しい地域も多かったが。


(横島さんは魔法世界が嫌いなんや。)

一方魔法世界に対する興味が一気に無くなった木乃香は、横島の様子から魔法世界が嫌いなんだとすぐに悟る。

今朝から魔法関連の勉強会に参加したくなさそうだったことからもなんとなく感じていたが、横島は魔法世界にかなりいい印象がないのだと改めて理解した。

元々来るものは拒まずというような横島であるが、当然好き嫌いはあり嫌いな相手には本当に冷たい。

夕映達や美砂達も同じく気付いたようでどうしようかと顔を見合わせるが、どのみち自分達は魔法世界に関わることもないだろうからスルーしようと決める。

一度くらいは旅行で行ってみたいとは思うが絶対行きたいと言うほどでもない。

最終的に話が進まないからと刀子が区切ると奴隷の話は簡単な説明で終わり、そのまま次の話へと移って行った。


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