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平和な日常~冬~5

その日の夕食はイタリア料理であった。

近右衛門達とも合流して街に戻るとハニワ兵達に美味しいと評判の店に入っている。

店の外観や店内は普通にあるイタリアンの店と大差ないが、あまり堅苦しい雰囲気ではなく和気あいあいとしていた。

そもそも横島達の泊まってるホテルもそうだが、基本的にハニワ兵達はあまり堅苦しいことが好きではなくみんなで騒ぐのが好きな傾向が強い。

横島達の入った店も同様でお洒落な店の割りには雰囲気はファミレスか居酒屋に近かった。


「マスター、魔法教えて!」

店の雰囲気に合わせるように一行も和気あいあいとした夕食にするが、食事が一段落すると美砂達とハルナは魔法を習いたいと言い出す。

少女達は先程高畑や刀子が話したことも考慮したようだが、とりあえず簡単な魔法を習ってみる分には問題はないだろうと考えた程度らしい。

ただここで少し意外なのは本来ならば真っ先に食いつくはずの木乃香に夕映とのどかが大人しいことか。

まあ三人も興味はあるようで美砂達が習うなら自分もとは思うようだが、こう言ってはなんだが美砂達と違い忙しい身なので少し慎重のようだ。

加えて魔法そのものではなく魔法を取り巻く環境がイマイチ胡散臭いというか、厄介な匂いがプンプンすることも慎重な理由の一つである。

横島と共に半年ほどで何度も騒動に巻き込まれ社会経験を積んでいる木乃香達だけに、その勘はほぼ当たっていると言えるだろう。


「なんだ魔法少女になりたいのか? なら変身アイテムでも作ってやるべきか。」

「ちがーう! アニメみたいな魔法少女じゃない! 普通にちょっと魔法を使ってみたいだけ!!」

あまり深く考えずに魔法を習いたいと語る美砂達に近右衛門達は少し心配そうになるも、横島は魔法少女になりたいなら変身アイテムが必要だろうかと真面目な表情で考え込む。

無論冗談だが美砂達はそれを横島日頃からがはぐらかしてる時の横島と近いと感じたのか、即否定して普通に魔法を使ってみたいだけだと告げる。


「変身アイテムなんて実際にあるのですか?」

「変身アイテムというか姿を変える魔法薬やマジックアイテムならあるはずだよ。 まあ犯罪に使われたりするら一般にはあまり売ってないけど。」

横島は変身アイテムならばやっぱりブローチかと一昔前のアニメを思い出し、一人だけ変身アイテムに興味を示したハルナと一緒に変身コスチュームの話を始めてしまうが。

一方で夕映達は近くにいた高畑に実際に変身アイテムなんてあるのかと尋ねると、高畑はアニメとは違うが似たような効果の魔法薬やマジックアイテムならあると教えていた。


「学園長先生、ダメなんですか?」

「習うのは構わんが権利には責任が付きまとうことは忘れんでくれ。 仮に人助けの為でも魔法を不用意に使えば問題になりかねん。 葛葉君や高畑君の言うことをきちんと聞くことは守ってくれ。」

そして横島がイマイチ話にならないと感じた美砂達は近右衛門と直接交渉するが、近右衛門は習うことを認めつつも習う以上は責任が生まれると教えていく。

ちなみに近右衛門の話は関東魔法協会ではごく一般的に話される注意事項の一つであり、魔法の使用に関しては口を酸っぱくするほど注意されることだ。

極論ではあるが関東魔法協会では見習いの場合は人助けの為でも指導者の許可がない魔法の使用は禁止している。

例えそれが目の前で人を見殺しにすることになっても、責任を負えない見習いに魔法を勝手に使わせるのは危険であった。

仮にそれで人を救えたらいいが、未熟な見習いでは二次災害や逆効果になることもない訳ではない。

実のところこの件に関しては昔問題になったことがあり、良かれと思って助けたことが仇となった事件があったのだ。


まあ実際には魔法協会でもそこまで深刻に魔法を受け止めてる見習いはほとんど居なく、美砂達も含めた横島の周囲は魔法協会に直接加わる訳ではないので厳密にはそこまで強要される立場でもかったりもするが。

ただ自由にしていいとは言えないし最低限魔法関係者としての常識は覚えて貰わねばならないのが現実だった。
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