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平和な日常~冬~5

「そう言えば魔法って私達のような一般人でも使えるんですか?」

一方オープンカフェで横島の話をしていた少女達だが、ふと高畑と刀子に魔法について尋ねたのは夕映だった。

本当は横島が先程語った話の続きが聞きたいがどうやら横島は本当に散歩に行くらしく、タマモを抱き抱えたまま戻って来る気配はない。

この際だからと魔法についての疑問を聞くことにしたようだ。


「一般的には普通の人も練習次第で初歩の魔法くらいは使えるようにはなるよ。 ただ才能や適性が必要だから僕みたいに希に使えない人も居るけどね。」

「高畑先生、魔法使えないの?」

「正確には呪文の詠唱が出来ないんだ。 だから君達がイメージするような魔法は使えないよ。 気や魔力自体は使えるから戦闘は出来るけどね。 昨日の映画で見たガトウさんと同じかな。 あの人が僕の師匠でね。」

夕映としては魔法を使って何かしようと考えた訳ではなく、自分のような一般人が魔法を使えるかが興味がある。

もちろん魔法を使ってみたいとは普通に思うが、その他にも魔法を秘匿する必要性や魔法自体の可能性も知りたい。

その結果の質問なのだが質問に答えた高畑が自身が魔法を使えないと語ったことで、他の少女達も興味を示してしまい高畑は自身のことを少し語り始めた。

何故呪文の詠唱が出来ないのかはよく分からないが、高畑は一般的にイメージする魔法は使えなく魔法技術を使った戦闘が得意なのだと夕映達は理解する。


「才能や適性が必要なのですか。」

「こういう言い方をすると夢や希望が無くなるかもしれないけど、実際に日常生活で絶対に必要な魔法って無いわよ。 もちろん覚えたら便利な魔法はあるけど、一般人には隠す必要があるから使いどころが難しいし。 魔法で将来身を立てるのも出来るけど、普通は才能や適性があっても一流になるには十年は修行が必要ね。」

夕映を初めとした少女達も魔法に薔薇色の未来を想像するほど単純ではなかったが、それでも興味があるような少女達に刀子は少し言いにくそうに魔法の現実を語り出す。

魔法の可能性としては大きく広いが必ずしも魔法で幸せになれる訳ではないし、何より修行に費やす月日を考えると必ずしも効率的とは言いがたい。

まあ才能や適性さえあればスポーツ選手よりは成功する可能性があるが、それでも魔法協会では魔法しか使えない脳筋のような人材は成功など出来ない。

無論高畑クラスになれば脳筋でも成功するだろうが、高畑クラスになれる人は本当に一握りなのだ。


「うわ~、本当に夢がないわ。」

「ファンタジーだと魔法で成り上がりなんてあるけど、日本じゃあね。」

魔法というか横島と異空間アジトであるこの世界を見てると夢が広がるが、一般的には特に夢がある訳ではなくむしろスポーツ選手に近いような印象を少女達は受ける。

魔法一つで何でも解決出来るのはファンタジーの物語くらいなんだろうなと漠然とだが感じた。

要は魔法も一つの技術であり使いようなことは分かるが、特定の人達だけで秘匿し独占してる以上はあまり深入りするとろくなことないのかもしれないと夕映やのどかは密かに思う。



「まあ基本的な魔法くらいは覚えても損はないと思うわよ。 この件は後で学園長先生や横島君と話してみたら?」

最終的に刀子は魔法を覚えることまでは否定しなかったが、過剰な期待や夢を持たないようにときちんと事前に釘を刺したと言える。

まあ以前にも説明したが麻帆良だとアルバイトやサークル感覚で魔法協会に加わってる学生も多く、刀子としては木乃香を含めた少女達もそんな一般的な魔法関係者の学生と同じでいいと思っていた。

実際刀子は近右衛門や詠春達から少女達の教育方針については、あまり一般人から逸脱させないようにとの注文を受けている。

本人達が望むならば魔法を教えても構わないとは言うが魔法に夢中になりすぎて魔法バカになっても困るし、自分達は特別だなどと勘違いをされても困るのだ。

その辺は横島にも話したようだが価値観というか常識がずれてる横島が近右衛門達は少し不安らしく、刀子には特に頼んでいるとの事情もあった。


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