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神と人と魔の狭間で

「小竜姫様!?」

「メドーサは?」

「すいません。また逃げられました。ですがかなり深い傷を与えたので当分は何も出来ぬでしょう。」

そして小竜姫が横島達と合流すると、そこには少し疲れた表情の横島と令子達がいる。

実は小竜姫の余裕の訳は横島達にあった。


「みなさんが霊力を送ってくれたおかげで無事に撃退は出来ました。 ありがとうございます。 あれは美神さんのアイデアですか?」

「ええ。 横島クンは直接助けに行きたかったみたいだけどね。」

横島はショックから回復するとすぐに小竜姫の助太刀に行こうとしたが令子がそれを止めていて、横島の竜気と竜神の装備の竜気に令子達の霊力までも横島に集めて常に小竜姫に霊力を送っていたのが小竜姫がメドーサに勝ったもう一つの訳になる。


「流石ですね。 正直驚きましたよ。」

今まで横島に霊力を与えることはあっても横島から霊力を受け取ったことがない小竜姫は、突然横島から大量の竜気と霊力が送られてきてビックリしたのが本音らしい。


「私達も横島クンも足手まといになるよりはね。」

ただ令子としてはやはり天竜童子の事件の時にメドーサの強さは骨身に理解していて、勘九郎が居ない以上横島には小竜姫の霊力源になってもらう方がいいと判断して影ながら支援していた。


「横島さん。 辛いことをさせてごめんなさいね。 ですが貴方にしか頼めなかったのです。 勘九郎はすでに人を何人も殺めていましたが美神さん達はやはりGSです。 一瞬の迷いが生まれたら勝てるのは貴方しか居なかった。」

そして小竜姫はすでに事切れている勘九郎の姿と少しいつもと違う横島の表情に人目も憚らずに横島の身体を抱き締めて謝っていた。

小竜姫も令子達を信じていたし実際戦えば負けないと考えていたが火角結界や土角結界を使われると形勢は逆転してしまうし、何より令子ですら生きてる人を殺めたことは経験がない。

その一瞬の隙が生まれた時にとっさに動けて勘九郎を一撃で倒せるのは横島しか小竜姫には思い浮かばなかった。


「あー。 大丈夫っすよ。 小竜姫様も美神さんもエミさんも冥子ちゃんもついでにタイガーもみんな無事だったんっすから。」

一方の横島は小竜姫が無事に戻ってきた安堵感に先程エミが語った言葉の意味を本当に理解できた気がした。


「綺麗事じゃないんっすね。 GSも神族も。 本当あの時迷って美神さん達を死なせたら今頃俺も小竜姫様もどうなってたか。」

ただ漠然と守りたいと綺麗事のように考えていた横島は、はっきり言えば今までGSや神族の戦いを舐めていたのかもしれないと自身で思う。

戦うという意味を。

力の使い方を横島は本来の歴史よりだいぶ早く理解していた。


「守りたいんっすよ。 せめて小竜姫様の足元くらいは。」

「横島……さん?」

「横島……クン?」

そしておちゃらけることもなく真剣に横島は小竜姫に対する紳士な想いを口にするが、そのあまりに大人びて真面目な表情に小竜姫と令子やエミ達は信じられないと言わんばかりの表情をする。

それは本来の歴史では横島がルシオラに見せたような決意の篭った一言だった。




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