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その二

「横島さん、面識あるんですか? 向こうは知ってたみたいですが…」

先日の銀一の件もあるので、ピートはまた横島の昔の知り合いかと思っていた

それは愛子達も同じように感じていたらしく、また横島の友達かと考えている


「いや、全く知らん。 名前と噂くらいは聞いたことがあるがな…」

「噂ですか?」

「ああ、なんでも25才の若さで土御門家の家督を継いだ天才だって噂は知ってるがな…」

全く知らないと言う横島を疑うようにピートや愛子達は見るが、噂の話には感心したように遠くを歩く雅也を見ていた


「土御門家の人間は一般のGSとは別格です。 古の術の中には世の中に公表出来ない技術も多いらしく、その術を見た者はほとんど居ません。 私やドクターカオスは西洋魔法では世界でトップクラスの自信がありますが、東洋系の術では足元にも及ばないでしょう」

着かず離れず自分達の前を歩く雅也を警戒しながら、魔鈴は語ってゆく


基本的技術の違いなどから、魔鈴は東洋系の術と相性があまり良くないし

ドクターカオスはある程度理解しているが、カオスもあくまで西洋魔法などが基本なため得意ではない

相性と言う点では前世の関係からか横島が一番合うのだが、長年魔鈴と共に西洋魔法を研究して来た横島も、現在では西洋魔法の方が馴染んでいるのだ


「原始風水盤ってあっただろ? あんなふうな危険な術とかをゴロゴロ抱えてるんだよ」

イマイチピンと来ないピートを見て、横島は少し考えて具体的な例を上げた


「そんな危険な術を多数抱えてるんですか!?」

原始風水盤の名前にピートの表情が一変する

一歩間違えれば世界の破滅もあり得た事件なだけに、その危険性を悟ったようだ


「ええ、あくまで噂ですが… 実際見た人は知りませんし、土御門家もどんな術があるかとか一切公言してませんから、詳細は不明ですが…」

あくまで噂と魔鈴は伝えたが、未来で魔鈴や横島が調べた結果の噂である

確認を取れなかったので事実かわからないが、かなりの秘術や伝承などを伝えてることは確からしいことまでは掴んでいた


「なんか、横島君の住む世界は別世界みたいね。 聞いてても理解出来ないわ」

「無理も無いわ。 妖怪の私も半分しか理解出来ないもの」
 
一生懸命理解しようとする加奈だが、素人の彼女にはほとんど理解出来ないらしく、それは愛子も同じであった

そしてGS見習いにも関わらず、無知なタイガーも話に加われないでいる



そんな横島達が着いて行った場所は京都の街中にある一件の屋敷であった

周りには近代的な住宅や少し離れた場所にはビルも見える場所だが

その場所だけはまるでタイムスリップしたように、昔の雅な日本家屋が広がっている


「綺麗な庭ね~ 観光地にでもなりそう」

道路沿いからは白い壁があるため中が見えなかったが、立派な門から見えたのは素晴らしい日本庭園であった

愛子は思わず声に出してつぶやくが、横島達もその景色に見とれてしまう


「どうやら本物の土御門家の人間らしいですね…」

難しい顔をしながら魔鈴は事情を考える

なぜ、横島や自分が土御門家に呼ばれたのか理由がわからない

そもそも、弟子すらめったに取らないほど閉鎖的な家柄なのだ


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