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平和な日常~冬~4

その後タマモの件が落ち着くと近右衛門は今日はこのくらいでお開きにしようと言い出し、特に反対がなかった為にお開きになっていた。

ぶっちゃけ横島の事はほとんど聞いてないままであったが、木乃香達が横島を追求する気がないことから美砂達も引いてしまい文句を着ける者は表向き居なかった。

まあハルナ辺りはまどろっこしいからと聞きたいようであったが、元々木乃香達は横島の過去についていつか話してくれるのを信じて待つつもりであったので今更焦って聞き出す気はないらしい。

本音としては全てを話して欲しいが本人が言いたくないことを聞き出すことには消極的であり、何より横島の秘密の一端に踏み込んだだけで今日はいいとしようとの思いが強かったのである。


「テレビも入ってますよ。 しかも世界中の。 非常に興味深いです。」

その結果この日は部屋に戻り早々に休むことにしたが、魔法という神秘の力に異世界のハニワの国と好奇心が刺激された夕映は眠れずに部屋にあったテレビを見ていた。

それは二十五インチほどの普通の薄型テレビであったが、驚くべきことは日本のテレビは元より世界各地のテレビが入っているので異様なほどチャンネル数が多いことだろう。

現在の放送は基本的に麻帆良の世界の放送をリアルタイムで流しているが、一部はハニワ兵による独自制作の放送もあり元の世界の番組や放送を流してるチャンネルもある。


「異世界なんて信じられないね。」

「なに言ってんの! ハニワの国なんて他には絶対ないわよ!」

部屋の中には電話もあってルームサービスのメニューもあれば、ホテル内の案内や付近の観光ガイドまであった。

割と部屋が広いので夕映は寮と同じくのどかとハルナと一緒の部屋にしていたが、これは夢ではとまだ思うのどかと対照的にハルナは好奇心から興奮気味である。



「夜はまだまだこれからなのだ!」

一方美砂達三人はすでに部屋を出てホテル内を散策していた。

せっかく不思議のハニワ国に来たのに寝るなんてもったいないと遊びに出ることにしたらしい。

流石にホテルを出るつもりはないがホテル内にはゲームコーナがあると案内に書いていたので向かってる最中である。


「ぽっ!?」

「こんばんは~」

途中何体かのハニワ兵に会うが驚くハニワ兵達と対称的に桜子は当然のように笑顔で挨拶をしてすれ違っていく。

美砂と円もそんな桜子に合わせるように挨拶をしていたが、見知らぬ世界に来て平然としている友人に二人は驚いていた。

しかも桜子は途中で少し迷うとこれまた平然とハニワ兵に道を聞いて進んでおり、話は出来なくともゼスチャーで見事に乗り切っている。

よく何処に行っても生きていける人が居ると聞くが、桜子もそのタイプなのかと美砂達は新たな発見をした気分であった。




「本当に狐にでも化かされてる気分ね。」

「タマちゃんになら化かされてみたいわ~」

そして木乃香と明日菜の二人だが、明日菜はあまりに驚きの話の連続に頭の整理が出来てないようである。

木乃香に関しては先に魔法を知らされていたことと両親からも横島は特殊だと聞かされていたことから正直横島に関してはあまり驚いてなく、どちらかと言えばさよとタマモの正体に驚いたくらいだ。

ただそれでもタマモに化かされたいと言うなどかなり余裕があるらしい。


「そもそもなんで魔法って隠してるの?」

「ウチもまだ詳しく聞いてへんからよう分からへんけど、ヨーロッパの歴史が原因やって言うてたわ。 魔法もみんなの幸せになるより揉め事の種になったんやろな。」

「ファンタジーなのに夢のない話ね。 横島さんの過去がぶっ飛んでるのは分かったけど、それは今更なのよね。 案外魔王でも倒して世界に平和をもたらしたなんて言われた方がありえそうだもの。」

少々頭が混乱している明日菜は木乃香と話をしながら頭を整理していくが、魔法を隠す理由がファンタジーやメルヘンとは程遠いことからもイマイチ興味が持てないようだ。

尤も横島に関してはやっぱり普通じゃないんだとしか感じてないが。

仮に横島が普通の魔法使いだと言われた方が信じれないほど、明日菜にとって横島は特殊な存在のようである。

魔法があるならば魔王なんてのも存在して横島は魔王でも倒したんじゃないのと笑い話をする程度には余裕があるようだ。


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