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GS試験再び……

さて試合の方は相変わらず一方的なままだった

とっさに防御したタイガーに、蛮玄人の拳が次々に降り注ぐ


「ふっふっふっ…… 倒れろ! 倒れろ!!」

自分の理想通りの展開に酔いしれるように攻撃を続ける蛮玄人は、攻撃を受けてるタイガーすら見てない

反撃も出来ない相手ならば、すぐに倒れると思っているようだ


(あれ…? 霊力の割に攻撃が軽いのは何故ですかいノー)

一方固くガードしてるタイガーは、最初に見た霊力の割に攻撃が軽い事を不思議に感じている

10%の言葉にビビってとっさに防御を固めたタイガーには、全くと言っていいほどダメージが無いのだ

残りの90%を警戒して防御はとけないが、現状の10%の霊力に比べて攻撃が軽すぎる理由がわからない


そのタイガーの違和感の原因は、試験対策として戦った相手にある

試験対策として模擬試合をした相手は、雪之丞と横島とシロなのだ

雪之丞と横島は最近特に力を伸ばしているし、雪之丞は魔装術の応用で霊力効率が上手い

それに横島は収束が得意なために、攻防にかける霊力比率が高いのだ

加えて一番未熟なシロも人狼の身体能力はすばらしく、霊力も一般GSのレベルは越えている

そんな三人を基準にしてタイガーは考えてるため、蛮玄人のような霊力を高めるしか出来ない半端者の攻撃がいかに軽いか気が付いてない


「はぁ……はぁ……はぁ……」

数分後、先に息が切れ始めたのはもちろん蛮玄人だった

ろくに霊力をコントロール出来ない蛮玄人は、霊力を全開にしたまま殴っていただけなのだから早くも限界が近い状態である


「いい加減降参しろ! 90%の力を出せば怪我じゃ済まないぞ!!」

息を切らして全身に汗をかく蛮玄人は、予想外のタイガーの打たれ強さに作戦を変えてきたらしい


「その割には疲れてるように見えるのは気のせいじゃろか?」

いくらタイガーが緊張して周りが見えないとはいえ、さすがに蛮玄人の変化に気が付かないはずがなかった

まあ90%を警戒して防御をとかない辺りは臆病なタイガーらしいのだが、蛮玄人の様子がおかしいのには気が付いている



「解説の厄珍さん、タイガー選手は蛮選手のハッタリを信じてるみたいですが……」

「どっちも馬鹿アルね。 でも自力の差が見え始めたアルな」

実況と解説の二人は、あまりにも滑稽に見える戦いになんとも言えない表情であった

毎回同じハッタリを使う蛮玄人も馬鹿だが、それを簡単に信じるタイガーも馬鹿に見える

GS以前に人としての問題に、二人は言葉もなかった


それはそれは会場でタイガーと蛮玄人の試合を見ている観客にも言える事で、見方を変えればコントや喜劇にも見えるような戦いを二人は真剣に戦っているのだ

そんな試合にクスクスと笑う業界関係者も少なくない



さて試合の方は膠着状態のままだった

蛮玄人にはもう戦うだけの力は残されて無く、ハッタリでタイガーを留めるが精一杯である

対するタイガーは蛮玄人のハッタリに警戒して動けないのだから、試合が決まるはずもない

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