このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

番外編・ネギまIN横島~R~(仮)

《麻帆良の謎を追え!》


「ちょっと変だけど面白い人だよ。 意外と気が利くしね。」

「頭もいいし料理はプロ級。 お金持ってるし見た目も悪くない。 あれで女が苦手じゃなきゃね。」

桜という私の国にはなかったピンク色の花が至るところで咲く街で、私はとある人物について取材していた。

その人物は昨年の後半からこの街では話題の人物であり近くを歩く学生達に話を聞くと、次から次へと聞いてないことまで聞くことが出来た。


「あいつは今に化けの皮が剥がれるぞ! あちこち手を出してるらしいからな!」

「こいつの話は信用しない方がいいよ。 ただの嫉妬だから。 あの人って周りに可愛い子が多いからよく嫉妬されてるんだ。 僕もあんまり知ってる訳じゃないけど、彼女があの人の店の常連でさ。 彼女の誕生日の時にケーキを予約したら彼女が常連だからって僕にまでサービスしてくれてね。 悪い人には見えなかったなぁ。」

基本的に女性からは評判がいい反面で男性からの評判は今一つである。

ただ取材対象を知ってる人物に限定すれば男性からの評判も決して悪くはない。

直接面識のない人ほど取材対象を酷評する傾向にあるので、この辺りは話の信憑性を入念に調べなければならないだろう。


「あちこちに手を出してる? ああ、あれ私達常連のみんなで話してた冗談よ。 馬鹿な男子が真に受けてるだけ。 マスターって意外に奥手みたいだしお人好しだからお客さんに手を出しては居ないと思うな。 特別親しい子は何人か居るけど、あの子たちも子供扱いされて時々怒ったりしてるし。 親しい子の中に彼女は居るかもしれないけど誰が彼女かは私達の間でも謎なのよね。」

「怪しいのはお姫ちゃんと刀子先生に千鶴ちゃんかな? お姫ちゃん? ああ、学園長先生のお孫さんの木乃香ちゃんのことよ。 トトカルチョのオッズは彼女が一番ね。」

取材対象は基本的に料理の腕前がプロ級というかプロそのものらしいが本人がプロではないと否定しているとのこと。

しかし取材対象は変人としても一部では有名らしいので、料理に関するアマチュア発言は彼の冗談か根本的な考え方が一般と違うかのどちらかと思われる。

それとこれもまた確認の取材が必要だが著名な料理評論家が彼の料理を絶賛していたとの噂もある。

交遊関係に関しては店の開店当初から麻帆良の三羽烏と言われる近衛学園長が店に出入りしていたとの情報があり、加えて昨年の末のパーティにおいて同じく麻帆良の三羽烏の那波千鶴子氏が自ら根回しをしていたことや同じく三羽烏の雪広清十郎氏が後見人的な発言をしたとも言わている。

財界関係者にはこのことから清十郎氏の隠し子かとの噂もあるがこの噂もまた信憑性はほぼなく、どちらかと言えば同じく噂の域を出ないが清十郎氏が幼い頃より目をかけ支援していた秘蔵っ子ではとの噂の方が信憑性が高い。

事実彼がオーナーだと言われている新興のIT企業は雪広グループと那波グループが支援している影響で、企業としての信頼度が格段に上がり現在日本のIT業界では最も注目を集めている。

IT企業の方は別途取材が必要なので今回は深追いはしないが、雪広グループを中心に何度かイベントを一緒に行っており交遊関係はこの街で考えると無視できないものだと思われる。

次に話を聞いたのが学生が多かったことから取材対象の恋愛事情の話が多く聞かれたが、先に男子学生が上げた女性関係の派手な噂はほぼデマだというか取材対象の周りが面白おかしく作り上げた話がほとんどとのこと。

実際にモテるのに変わりはないようだが不思議と異性からの評価が高いこともあり、恋愛観はしっかりしてるようだと推測出来る。


「ああ、あんたか。 今度はあの名物マスターの取材か? 悪いことは言わねえ。 ほどほどにしとけよ。 去年あの組織が健在だと判明してからはここも神経質になってるからな。 孫ほど可愛いものはないってのは近衛学園長も同じらしくって孫の周囲は特にガードが固いからな。」

さて表の取材をある程度済ませた私は今度は裏の方から取材を始めた。

しかしこの街で情報屋をしているとある人物に取材したら早々に嫌な顔をされてしまう。

魔法世界では未だにトラウマもののテロ組織の幹部の一人が昨年生きていたことが露見して以来、裏の世界は何処も蜂の巣をつついたような騒ぎなのは今更だが。

ただこの街には先に上げたテロ組織をかつて壊滅させた青山詠春の一人娘が居て彼女は近衛学園長の孫でもある。

あのサムライマスターが単純に報復を恐れてる訳ではないだろうが、まだ未成年の娘の将来を考えれば神経質になって当然とも言える。

取材対象がサムライマスターの娘と恋人かと言われるほど親しいとなると当然ガードが固いようだ。

ただ私はあくまでも合法の範囲内での取材を信念に行動しているので何も恥じる必要もない。


「あの人か、符術士だって誰か言ってたな? 実力? 知るかよ。 デスメガネと神鳴流に加えて力を封じられてるとはいえ闇の福音がよく近くに居るんだぞ。 実力を確かめるなんて自殺願望がなきゃ誰もしねえよ。 そうそうあそこの幼い子供にも気を付けろよ。 何故か知らねえが闇の福音と特に仲が良くって封印の影響で動けない人形の従者を毎日散歩に連れていってるからな。」

裏の人間に何人も話を聞くが総じて口が重くあまり関わりたくないと誰もが口にする。

取材相手はここの魔法協会に協力してる人間か他所から情報収集の為に送り込まれた工作員であるが、前者は口が固く後者は何か情報があっても簡単には教えてはくれない。

ただ顔馴染みの下っぱ工作員をしている人物だけは情報料と引き換えに知ってることを教えてくれた。

どうやら裏の世界でも取材対象は有名らしいが、それは表の活躍とこれまた異様にも見える交遊関係が原因らしい。

先に彼の恋人かと噂されていた女性の一人はサムライマスターと同じ神鳴流らしい上に、赤き翼の後継者と言われる高畑・T・タカミチ氏が店の常連とのこと。

加えて極めつけは魔法世界では生ける伝説と化した闇の福音ことエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが何故か取材対象と親交があるようだ。

そもそも彼女は魔法世界では一般的に極悪非道な魔王だと言われているが、実はその元になった話の大半はメガロメセンブリアの捏造や誇張が昔から噂されてる。

私も以前彼女について少し取材したが、実際に彼女は自身の火の粉を払う以外は他人と関わった形跡すらない。

元々この街では高畑氏が彼女と親交があるのは裏の情報通では知らぬ者が居ないほどで、かの有名なサウザンドマスターが彼女を封印したのは彼女をメガロメセンブリアから救うためだったのではとの噂は今も根強くある。

実は封印はいつでも解除できるのではとの情報も昔からあって、例え魔法が使えなくともこの街で一番関わってはならない人物だと言われている。

理由は不明だが取材対象と一緒に暮らす娘はそんな人物ともいつからか親交があるらしい。

なお取材対象には中学生の娘と幼い娘が一緒に暮らすが、血の繋がった家族ではないとの情報以外ははっきりしてない。

一部には人外だとの噂もあるが今のところ私には確認のしようがない。

それに取材対象が闇の福音とも繋がるとなれば、誰もが関わりたがらないのも無理はなかった。

更に彼自身が裏の活動が全くないこともあり、実力から重要度まで全てが憶測と噂の域を出ずに未知数なのだ。

ある程度情報を纏めると表の関係者は清十郎氏の秘蔵っ子だとの噂が有力だが、裏の関係者は近衛学園長の秘蔵っ子だとの噂が有力らしい。

裏の関係者では近衛学園長の孫は取材対象と恋人だとの噂が一番囁かれていた人物なので事実上の婚約者ではとの憶測もあったが。

最終的に取材対象に関しては多くの情報が比較的簡単に集まったが、その反面で明確な裏づけが出来た事実は逆に驚くほど少ない。

現状でも情報の精査はそれなりにしたが全てはこの地の魔法協会が流したニセ情報の可能性もあり更なる調査が必要となるが、現時点ではこれ以上の取材は危険を伴うので断念せざるおえないだろう。


12/17ページ
スキ