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その二

さて何だかんだ言いつつ楽しんで食事を済ませた横島とかおりであるが、食後は少しお腹が落ち着くまであまり激しくない乗り物やアトラクションを回ることにする。


「横島さん、そういえば年末年始はどうするんですの?」

「特に予定はないなぁ。 親父達は地球の裏側だし親戚は遠いしさ。」

デジャヴーランド自体は遊園地ながら誰でも楽しめるようにと乗り物以外のアトラクションも多く、二人はそんなアトラクションを見て歩いていたがかおりはふと年末年始のことを横島に尋ねていた。

一般的な意見として年末年始くらいは両親が帰ってくるか横島から会いに行くのかなと思ったようだが、横島にその気はなく自由を満喫している。


「その、ご両親と上手くいってないんですか?」

「うーん、どうなんだろ? 上手くいってるとは言いがたいけど大きな問題がある訳じゃないんだよな。 とりあえずわざわざ会いたくはないな。」

ここしばらく両親の件から家族や両親について少し考えさせられていたかおりは少しばかり横島の家族に興味を持つが、正直横島の家族も特殊で一般的とは言いがたい。

父親とは元々の性格は合わない訳ではないのだが以前令子を口説いた件もあってわざわざ会いたくないし、母親は自分の価値観や考えを押し付けるので父親以上に会いたくない。

元々横島が日本に残ったのはジャングルの奥地に行きたくないとの理由だったが、とにかく横島を自分の価値観で押さえつけていた母親から解放されたいとの想いもあったのだ。

実際母親は来日した際に横島が見習いとはいえGSをしていることを一切認めることも評価することもなく勝手にニューヨーク行きを進めようとしたこともあり、横島の印象はお世辞にも良くない。


「弓さんとこも大変だけどさ。 親子で上手くいかない人って割と居るからな。 ここだけの話、美神さんとこも母親はともかく父親とは上手くいってないみたいだしさ。」

正直横島はあの両親と一緒には暮らしたくないのでこのまま自立して離れて暮らすのが一番だと考えている。

かおりの家のように致命的な問題がある訳ではないが、言い換えれば致命的な問題がないにも関わらず一緒に暮らしたくないと言えるほどなので親子関係はお世辞にもいいとは言えない。

ただまあ一言で言えば性格が合わないだけなので逆にどうしようもないとも言えた。


「そうなんですか。 どこの家も大変なんですのね。」

「うちは離れて暮らしてるくらいでちょうどいいんっすよ。 そうだ、初詣でも一緒にどうっすか?」

「いいですわね! でもその前に大掃除はして下さいね。 随分掃除してないようでしたので。」

「アハハ……。 掃除は苦手で。」

結局横島は家族に関してはあまり話したくないのか多くを語らないまま話を変えてしまうが、かおりはどこの家庭も大変なんだなと少し気が楽になった気がする。

そしてそのまま年末年始の予定に話が移ると横島から初詣の約束をしたり、逆にかおりは大掃除をするように言ったりといろいろ話が盛り上がることになる。





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