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神と人と魔の狭間で

「誰か来るのね!」

一方地下のヒャクメとGS達だが、こちらは罠を警戒しつつゾンビも無力化しながら進んでいた為か少し手こずっていた。

メドーサのゾンビは史実同様に普通のゾンビより強化されているため聖属性の攻撃を使う唐巣やピートですら苦戦していて、地下であるため火を使うことも出来ないのが響いている。


「誰かと思えば雪之丞じゃねえか。 殺す!」

そしてそこにヒャクメがゾンビより強い存在の霊力を感じ警告を発すると現れたのは見知らぬ魔物だった。


「知り合いかね?」

「俺の知り合いにあんな奴居ねえよ!」

「……違うのね。 この人。 人間なのね。」

小竜姫から聞いていた話に居ない魔物にヒャクメは戸惑い、魔物が真っ先に雪之丞の名を口にしたことで唐巣は雪之丞の元仲間かと問い掛けるも雪之丞は全く知らないので否定する。

しかし魔物の正体に気付いたのはやはりヒャクメだった。


「へへへ。 俺は強くなったぜ。 雪之丞。 お前なんてもう敵じゃねえ。」

「……お前。 誰だ?」

魔物はヒャクメの言葉にやっと正体が分かったかと言わんばかりの態度だが、雪之丞は全く思い当たらないらしく素の表情で魔物にその正体を問う。


「陰念だよ!! てめえ、まさか俺様のこと忘れてやがったな!!」

「お前。 なんでそんな姿に。」

魔物の正体は白龍会の最後の一人にしてGS試験の時に姿を消した陰念だった。

雪之丞は全く頭になかったらしく、そういえば居たなと今更ながらに思いだしあまりに変わりすぎた姿に何とも言えない表情をする。


「メドーサ様に頂いた新しい力だ。」

「力ってお前。」

「憐れみの目で見るなあ!! 確かにGS試験の時の無惨な結果にオレは人の姿を奪われた。 けどな。 もうてめえにも勘九郎にも負けねえ!」

この時雪之丞ばかりではなくその場の全員が陰念に憐れみの目を向けていた。

確かにGS試験の時よりは強くはなっているが明らかに魔物というか化け物のような姿になった陰念に、ヒャクメとGS達は憐れみの目を向け雪之丞は小竜姫の誘いに乗らなかったら自分もああなっていたのかもしれないと思うと複雑な心境になる。


「陰念。 降伏しろ。 今なら人間に戻れるように頼んでやるから。」

「そうなのね! 貴方は私達が人間に……」

GS達から向けられる憐れみの視線に陰念は激昂するも、雪之丞はらしくないほど落ち着いていて自ら降伏を促すと人間に戻れるようにとまで言いヒャクメがそれに続くが。


「うるせえ!! 今更戻れるかああ!!!」

憐れみや同情に激昂した陰念には雪之丞とヒャクメの言葉は届かず雪之丞に襲いかかる。


「悪いな。 陰念。 俺も引けねえんだよ。」

確かに陰念は強くなったし恐らく未来のGS試験で魔物化した時よりも強いかもしれないし一応自我もある。

しかし雪之丞はそれ以上に強くなっていた。

僅か一撃の霊波砲により陰念を吹き飛ばして倒してしまう。





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